ディリクレ核
📂フーリエ解析ディリクレ核
定義
ディリクレカーネルDirichlet kernel Dnは次のように定義される。
Dn(t):=21+k=1∑ncoskt
説明
ディリクレカーネルは、デルタ関数、指数関数等と関連しており、フーリエ解析に登場する。関連するいくつかの定理と証明を紹介する。
定理1
ディリクレカーネルは下の式を満たす。
Dn(t)=2sin21tsin(n+21)t
証明
コサイン関数を複素指数関数形で表現すると次のようになる。
Dn(t)=== 21+21k=1∑n(eikt+e−ikt) 21[1+k=1∑n(eikt+e−ikt)] 21k=−n∑neikt
この場合、
等比数列の和の公式
k=1∑nak=r−1a(rn−1)
を使用すると、初項がa1=e−intで、公比がr=eitなので、次のように整理することができる。
Dn(t)===== 21k=−n∑neikt=21k=1∑2n+1ei(k−n−1)t 21eit−1(e−int)(ei(2n+1)t−1) 21e−intei21t−e−i21tei(n+21)t−e−i(n+21)tei21tei(n+21)t 21ei21t−e−i21tei(n+21)t−e−i(n+21)tei(n+21)tei(n+21)t 21sin21tsin(n+21)t
最後の等号ではsinx=2ieix−e−ixを利用した。
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定理2
以下の式を2L-周期関数 f(t)のフーリエ級数の部分和とする。
SNf(t)=21a0+n=1∑N(ancosLnπt+bnsinLnπt)
すると、部分和 SNf(t)を以下のようなディリクレカーネルを含む積分で表すことができる。
SNf(t)=L1∫−LLf(x)Dn(Lπ(x−t))dx
証明
フーリエ係数 a0、an、bnを求めると次のようになる。
a0anbn=L1∫−LLf(x)dx=L1∫−LLf(x)cosLnπxdx=L1∫−LLf(x)sinLnπxdx
すると、以下の式を得る。
==ancosLnπt+bnsinLnπt (L1∫−LLf(x)cosLnπxdx)cosLnπt+(L1∫−LLf(x)sinLnπxdx)sinLnπt L1∫−LLf(x)[cosLnπxcosLnπt+sinLnπxsinLnπt]dx
すると、三角関数の和差公式により、以下の式を得る。
ancosLnπt+bncosLnπt=L1∫−LLf(x)[cosLnπ(x−t)]dx
これを(2)に代入すると、以下のようになる。
SNf(t)==== 21a0+n=1∑N(ancosLnπt+bnsinLnπt) 21L1∫−LLf(x)dx+n=1∑N(L1∫−LLf(x)[cosLnπ(x−t)]dx) L1∫−LLf(x)[21+n=1∑NcosLnπ(x−t)]dx L1∫−LLf(x)Dn(Lπ(x−t))dx
最後の等号ではディリクレカーネルの定義を使用した。
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定理3
任意の整数 n∈Zに対して、以下の式が成り立つ。
L1∫−LLDn(Lπ(x−t))dx=1
証明
Lπ(x−t)=yと置換する。すると、(3)の左辺は次のようになる。
====L1∫−π−Lπtπ−LπtDn(y)πLdy π1∫−π−Lπtπ−Lπt(21+n=1∑Ncosny)dy 2π1∫−π−Lπtπ−Lπtdy+n=1∑N∫−π−Lπtπ−Lπtcosnydy 2π12π+n=1∑N∫−π−Lπtπ−Lπtcosnydy 1 by (1)
この時、二番目の項の積分が0になる理由は、cos0y=1とcosny(n=0)が互いに直交しているからである。
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