直交関数と直交集合
定義
内積
間隔 $[a,b]$で定義された二つの関数 $f$、$g$の内積を次のように定義する。
$$ \braket{f , g} := \int_{a}^b f(x) g(x) dx $$
$f, g$が複素関数の場合は、
$$ \braket{f, g} := \int_{a}^{b} f(x) \overline{g(x)} dx $$
この時、$\overline{z}$は$z$の共役複素数である。
直交関数
二つの複素関数 $f$、$g$が下の式を満たすなら、「$f$、$g$は間隔 $[a,b]$で直交する」と言う。
$$ \braket{f, g} = \int_{a}^{b} f(x) \overline{g(x)} dx = 0 $$
ここで二つの関数の内積を積分で定義したから、積分値が $0$になる時直交するというのは自然である。
直交集合
関数 $\phi_{1}$、$\phi_2$、$\phi_{3}$、$\dots$が次の式を満たすなら、これらの関数の集合 $\left\{\phi_{i}\right\}$を「直交集合」と言う。
$$ \braket{\phi_{m}, \phi_{n}} = \int_{a}^b \phi_{m} (x) \overline{ \phi_{n}(x) } dx = 0 \quad (m\ne n) $$
正規化
関数 $f$のノルムを次のように定義する。
$$ \left\| f \right\| := \sqrt{\braket{f, f}} = \left( \int_{a}^b \left| f(x) \right| ^2 dx \right) ^{ \frac{1}{2} } $$
任意の関数 $f$について、適切な定数を乗じて$f$のノルムが $1$になるようにすることを「正規化」と言う。関数 $f$を正規化した関数 $f_{\text{normal}}$は、
$$ f_{\mathrm{normal}} = \frac{1}{ \left\| f \right\| }f $$
正規直交集合
直交集合 $\left\{ \phi_{1}, \phi_{2}, \cdots \right\}$の全ての元が正規化された関数である場合、その集合を「正規直交集合」と言う。つまり、全ての $n, m$に対して次を満たす場合は正規直交集合である。
$$ \braket{\phi_{m}, \phi_{n}} = \int_{a}^b \phi_{m} (x) \overline{ \phi_{n}(x) } dx=\delta_{mn} $$
ここで、$\delta_{mn}$はクロネッカーのデルタである。
例えば、3次元デカルト座標系で $\left\{ \hat{\mathbf{x}},\ \hat{\mathbf{y}},\ \hat{\mathbf{z}} \right\}$は正規直交集合である。