クラメールの定理の証明
📂行列代数クラメールの定理の証明
概要
クラメルの公式cramer ruleは、連立方程式を解く上で効率的だとは言えないが、Ajが可逆行列であったり、Aそのものが行列式を計算するのに便利な特定の条件が与えられていれば、必要な答えを直接見つけ出すのに十分便利に使える。
定理
連立方程式Ax=bが、可逆行列
A=a11a21⋮an1a12a22⋮an2⋯⋯⋱⋯a1na2n⋮ann
と二つのベクトル
x=x1x2⋮xn,b=b1b2⋮bn
で構成されているとしよう。Aのj番目の列をbで置き換えた行列をAjとすると、
xj=detAdetAj
証明
Aのi,jの余因子をCijとする。
選択されたj列について、detA=j=1∑naijCij
Aのj列はa1j,a2j,⋯,anjなので、ラプラス展開により、
detA=a1jC1j+a2jC2j+⋯+anjCnj
一方、Aのk=j列はa1k,a2k,⋯,ankであり、a1kC1j+a2kC2j+⋯+ankCnjは少なくとも二つの同じ列a1k,a2k,⋯,ankを持つ行列の行列式と等しいので、
a1kC1j+a2kC2j+⋯+ankCnj=0
連立方程式Ax=bを解析すると、
a11x1+a12x2+⋯+a1jxj+⋯+a1nxn=a21x1+a22x2+⋯+a2jxj+⋯+a2nxn=an1x1+an2x2+⋯+anjxj+⋯+annxn=b1b2⋮bn
各i番目の式の両辺にCijを掛ければ、
a11x1C1j+a12x2C1j+⋯+a1jxjC1j+⋯+a1nxnC1j=a21x1C2j+a22x2C2j+⋯+a2jxjC2j+⋯+a2nxnC2jan1x1Cnj+an2x2Cnj+⋯+anjxjCnj+⋯+annxnCnjb1C1j=b2C2j⋮=bnCnj
左辺をすべて加えると、中央のi=1∑naijxjCij=detAを除いてはi=1∑naikxjCik=0に全て消え去って、
i=1∑naijxjCij=b1C1j+b2C2j+⋯+bnCnj
が得られる。しかし、Ajはj列がb1,b2,⋯,bnで置き換えられた行列なので、
detAj=b1C1j+b2C2j+⋯+bnCnj
ここでxjをi=1∑nの外に出すと、
xji=1∑naijCij=detAj
整理するとxjdetA=detAjであり、Aは可逆行列であると仮定しているので、detA=0が真である。従って、
xj=detAdetAj
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