アイゼンシュタインの判定法
📂抽象代数アイゼンシュタインの判定法
定理
f(x)=anxn+⋯+a0∈Z[x]が、素数p∈Zとk=0,1,2,⋯,n−1に対して以下の条件を満たす場合、f(x)はQの上で既約関数である。
- (i): an≡0(modp)
- (ii): ak≡0(modp)
- (iii): a0≡0(modp2)
説明
f(x)=axn+b形の整数多項式に対する非常に簡単な判定法として意味がある。Qに対する判定法という点で、代数的数に関連する議論で役に立つことができる。
例
f(x)=25x5−9x4−3x2−12がQ上で既約関数であることを示せ。
解答
- (i) 25≡0(mod3)
- (ii) −9≡−3≡0(mod3)
- (iii) 12≡0(mod9)
p=3に対してアイゼンシュタインの判定法を適用すると、f(x)は既約関数である。
証明
f(x)∈Z[x]が、次数がr<nのR(x)と次数がs<nのS(x)に対してf(x)=R(x)S(x)とすると、
R(x),S(x)∈Q[x]⟺R(x),S(x)∈Z[x]
を知ることができる。Z[x]から、
f(x)=(brxr+⋯+b0)(csxs+⋯+c0)
が三つの条件(i)、(ii)、(iii)を満たすと仮定すると、条件(iii)で、
b0c0=a0≡0(modp2)
なので、b0とc0が同時に
b0≡c0≡p≡0(modp)
ではない。代わりに、どちらかが合同である場合、
{b0≡0(modp)c0≡0(modp)
を考えると、条件(i)で、
brcs=an≡0(modp)
でなければならない。
今、ck≡0(modp)を満たすkの中で最小の値をmと呼ぶことにすると、
am=b0cm+b1cm−1+⋯+{bmc0brcm−r,r≥m,r<m
である。(⋆)から、b0≡0(modp)であり、mの定義によって、cm≡0(modp)なので、
cm−1≡⋯≡c0≡0(modp)
である。よって、
am≡0(modp)
であり、条件(i)と(ii)に従って、m=nでなければならない。
結局、s≥m=nであるが、これはs<nという前提と矛盾する。
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