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ブーリアン環 📂抽象代数

ブーリアン環

定義 1

$R$ をとしよう。

  1. $r \in R$ が $r^2 = r$ を満たすなら、$r$ を冪等元idempotent elementという。
  2. $R$ の全ての元が冪元なら、$R$ をブーリアン環boolean ringという。

説明

ブーリアン環は韓国語でそのまま’ブール環’となるが、聞こえがあまりよくないため英語発音をそのまま用いた。

線形代数学での射影が非常に有用な性質を多く持っているが、一般化された抽象代数学では言うまでもない。

ブーリアン環の例として最も有名なのは、‘ブール代数’とも呼ばれる $$ (\left\{ \text{True}, \text{False} \right\} , \text{OR}, \text{AND} ) $$ である。よく知られているように $$ \text{True AND True} = \text{True} \\ \text{False AND False} = \text{False} $$ なのでこの環はブーリアン環となる。数学者にとってより馴染み深い例は$\mathbb{Z}_{2}$があり、当然ブーリアン環と$\mathbb{Z}_{2}$は同型である。

その一方で、ブーリアン環の性質として次のことが知られている。

定理

ブーリアン環は可換環である。

証明

ブーリアン環 $R$ において $a, b \in R$ ならば $(a+b) \in R$ で $$ (a + b)^2 = (a+b) $$ 分配法則によって $$ (a + b)^2 = (a+b)a + (a+b)b = a^2 + ba + ab + b^2 = (a+b) $$ $a^2 = a$ そして $b^2 = b$ なので $$ a+ ba + ab + b = a+ b $$ $a$ と $b$ は加法に関する逆元が存在するので、整理すると $$ ba +ab = 0 $$ 両辺に $ba$ の逆元 $(-ba)$ を加えると $ab = -ba$ となるので $$ ab = (ab)^2 = (-ba)^2 = (ba)^2 = ba $$

関連項目


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p176. ↩︎