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二次同次微分方程式の解 📂微分方程式

二次同次微分方程式の解

定理1

$$ ay^{\prime \prime} + by^\prime + cy=0 $$

上で与えられた微分方程式の特性方程式 $ar^2+br+c=0$の解を$r_{1}$、$r_2$としよう。すると、

$\text{1.}$ $r_{1}$、$r_2$が異なる二つの実数の場合$(b^2-4ac>0)$、一般解は以下の通り。 $$ y(t)=c_{1}e^{r_{1}t}+c_2e^{r_2t} $$

$\text{2.}$ $r_{1}$、$r_2$が共役複素数$\lambda \pm i \mu$の場合$(b^2-4ac<0)$、一般解は以下の通り。 $$ \begin{align*} y(t) &= c_{1}e^{(\lambda + i\mu)t} + c_2e^{(\lambda – i\mu)t} \\ &= c_{3}e^{\lambda t} \cos \mu t + c_{4} e^{\lambda t} \sin \mu t \end{align*} $$

$\text{3.}$ $r_{1}=r_2=r$場合$(b^2-4ac=0)$、一般解は以下の通り。 $$ y(t)=c_{1}e^{rt}+c_2te^{rt} $$

解答

1. $r_{1} \ne r_2$かつ$r_{1}, r_2\in \mathbb{R}$の場合

一般解は以下の通りです。

$$ y(t)=c_{1}e^{r_{1}t}+c_2e^{r_2t} $$

ここで、$c_{1}, c_2$は定数で、二つの初期値$y(0)=y_{0}$と$y^\prime (0) =y^\prime_{0}$が分かれば、正確に求めることができる。

2. $r_{1} \ne r_2$かつ$r_{1}, r_2 \in \mathbb{C}$の場合

特性方程式の判別式が$b^2-4ac<0$の場合である。$r_{1}$と$r_2$が共役複素数となるため、以下のように表現できる。

$$ r_{1}=\lambda + i\mu,\quad r_2=\lambda – i\mu $$

すると、微分方程式の二つの解は以下の通り。

$$ y_{1}=e^{r_{1}t}=e^{(\lambda + i\mu)t}, y_{2}=e^{(\lambda – i\mu)t} $$

従って、一般解は以下の通り。

$$ y(t)=c_{1}e^{(\lambda + i\mu)t} + c_2e^{(\lambda – i\mu)t} $$

ここまで、**1.**と特に変わりはない。一般解をオイラーの公式を使って三角関数で表すと、

$$ \begin{align*} &\ c_{1}e^{(\lambda + i\mu)t} + c_2e^{(\lambda – i\mu)t} \\ =&\ c_{1} e^{\lambda t} (\cos \mu t + i\sin \mu t) + c_2 e^{\lambda t} ( \cos \mu t – i \sin \mu t) \\ =&\ c_{3}e^\lambda \cos \mu t + c_{4} e^\lambda \sin \mu t \end{align*} $$

従って、

$$ y(t)=c_{3}e^{\lambda t} \cos \mu t + c_{4} e^{\lambda t} \sin \mu t $$

この時、$c_{4}$は$i$を含む複素数定数である。初期値が分かれば、$c_{3}$と$c_{4}$を正確に求めることができる。

3. $r_{1}=r_2=r=-\dfrac{b}{2a}$の場合

特性方程式の判別式が$b^2-4ac=0$の場合である。$y_{1}$は$y_{1}=e^{\frac{-b}{2a}t}$で求めることができるが、$y_{2}$を見つけることはできない。$y_{2}$を見つけるために、$y(t)=\nu (t) y_{1}(t)$と仮定しよう。すると、

$$ \begin{align*} y^\prime &= \nu ^\prime y_{1} + \nu y_{1}^\prime \\ y^{\prime \prime}&=\nu^{\prime \prime}y_{1} +\nu ^\prime y_{1}^\prime + \nu^\prime y_{1}^\prime + \nu y_{1}^{\prime \prime}=\nu^{\prime \prime}y_{1}+2\nu ^\prime y_{1}^\prime+ \nu y_{1}^{\prime \prime} \end{align*} $$

$y^\prime$と$y^{\prime \prime}$を与えられた微分方程式に代入すると、

$$ a \left( \nu^{\prime \prime}y_{1}+2\nu ^\prime y_{1}^\prime+ \nu y_{1}^{\prime \prime} \right) + b \left( \nu ^\prime y_{1} + \nu y_{1}^\prime \right) + c\nu y_{1}=0 $$

$\nu$について整理すると、

$$ \nu \left( ay_{1}^{\prime \prime} + b y_{1}^{\prime} + cy_{1}\right) + \nu^\prime \left( 2ay_{1}^\prime+by_{1} \right) + ay_{1} \nu ^{\prime \prime}=0 $$

ここで、$y_{1}$が与えられた微分方程式の解であるため、最初の括弧は$0$である。また、$y_{1}=e^{(-b/{2a})t}$と$y_{1}^\prime = \frac{-b}{2a}e^{({-b}/{2a})t}$のため、

$$ \begin{align*} &&\nu^\prime \left( 2a \dfrac{-b}{2a}e^{\frac{-b}{2a}t} + b e^{\frac{-b}{2a}t} \right) + ae^{\frac{-b}{2a}t} \nu ^{\prime \prime}&=0 \\ \implies&& \nu^\prime(-b+b)+a\nu^{\prime \prime}&=0 \\ \implies && \nu^{\prime \prime} &=0 \end{align*} $$

従って、$\nu (t)=c_{1}+c_2t$である。最終的に、与えられた微分方程式の一般解は、

$$ y(t)=\nu (t) y_{1}(t)=c_{1}y_{1}(t)+c_2ty_{1}(t)=c_{1}e^{rt}+c_2te^{rt} $$

つまり、$y_{2}=ty_{1}$であるというわけだ。

例題

1.

$$ y^{\prime \prime}+ 5y^\prime + 6y=0 \\ y(0)=2 \\ y^\prime (0)=3 $$

特性方程式は$r^2+5r+6=0$である。つまり$(r+2)(r+3)=0$で、従って$r_{1}=-2$、$r_2=-3$である。従って、一般解は、

$$ y(t)=c_{1}e^{-2t}+c_2e^{-3t} $$

一般解を微分すると、

$$ y^\prime(t)=-2c_{1}e^{-2t} -3c_2e^{-3t} $$

初期値を代入すると、

$$ \begin{cases} c_{1}+c_2=2 \\ -2c_{1}-3c_2=3 \end{cases} $$

連立して解くと、

$$ c_{1}=9,\quad c_2=7 $$

従って、与えられた初期値に対する解は、

$$ y(t)=9e^{-2t}+7e^{-3t} $$

2.

$$ y^{\prime \prime}+4y^\prime + 8y=0 $$

特性方程式は、

$$ r^2+4r+8=0 $$

特性方程式の解は、

$$ r_{1,2}= \dfrac{-4\pm \sqrt{16-32}}{2}=-2 \pm 2i $$

で、$\lambda=-2$、$\mu=2$である。したがって、与えられた微分方程式の一般解は、

$$ y(t)=c_{1}e^{-2t}\cos 2t + c_2 e^{-2t} \sin 2t $$

3.

$$ y^{\prime \prime} + 4y^\prime + 4y=0 $$

特性方程式は、

$$ r^2+4r+4=(r+2)^2=0 $$

特性方程式の解は、

$$ r=-2 $$

したがって、$y_{1}(t)=e^{-2t}$で、一般解は、

$$ y(t)=c_{1}e^{-2t} + c_2te^{-2t} $$


  1. William E. Boyce, Boyce’s Elementary Differential Equations and Boundary Value Problems (11th Edition, 2017), p120-133 ↩︎