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測度論で定義される確率 📂確率論

測度論で定義される確率

定義 1

$\mathcal{F}$が集合$\Omega$のシグマ場だとしよう。

  1. 可測集合 $E \in \mathcal{F}$を事象と呼ぶ。
  2. $\mathcal{F}$上の測度 $P : \mathcal{F} \to \mathbb{R}$が$P(\Omega) = 1$を満たすなら、$P$を確率と呼ぶ。
  3. $( \Omega, \mathcal{F} , P )$を確率空間と呼ぶ。

説明

測度論の力を借りれば、確率論のさまざまな概念に対する数学的基盤を提供し、あいまいさを取り除くことができる。

  1. 高校の課程や確率論、または数理統計学で、事象とは任意の試行で起こり得るケースだった。数理統計学では確率が全ての事象を集めた集合を定義域とする関数として定義されていたのと異なり、今では$\mathcal{F}$の元を事象とし、標本空間という言葉はもはや使わない。シグマ場$\mathcal{F}$は、試行が正確に何であるかについて心配することなく、全体集合$\Omega$とそれに関する形式的な代数体系としてのみ定義される。したがって、誰が、何を、どう話すかによって生じうるあいまいさは存在しない。
  2. 確率は標本空間が定義域であり、$[0,1]$が値域であり、確率の加法則を満たす関数であった。測度論で再定義された確率の概念は、「任意の試行」や「ケースの数」などの言葉さえ許容しない。測度の定義を考えれば、このような確率の定義は、既に馴染み深い確率の概念を完全にカバーしつつ、厳密に一般化したものである。
  3. 「確率空間」という新しい言葉をわざわざ定義したのは、今や空間$\Omega$自体を$P$として捉えようという意図があるからだ。基礎的な数理統計学でのように、$\Omega = \mathbb{R}$ならば$\mathcal{F}$はボレルシグマ場 $\mathcal{B}$となり、$(\Omega , \mathcal{F})$を論じる意味はない。あまりにも簡単すぎるということであり、言い換えれば、応用できる範囲が限られているということだ。測度論の導入によって、確率の世界は、広大な一般化の段階に入る。しっかり勉強するつもりなら、この$\Omega$がどれだけ驚異的に与えられるかに注意が必要だ。

参照


  1. Capinski. (1999). Measure, Integral and Probability: p46. ↩︎