測度論で定義される確率
定義 1
$\mathcal{F}$を集合$\Omega$のシグマ体としよう。
- 可測集合$E \in \mathcal{F}$を事象eventという。
- $\mathcal{F}$上の測度$P : \mathcal{F} \to \mathbb{R}$が$P(\Omega) = 1$を満たすとき、$P$を確率probabilityという。
- $( \Omega, \mathcal{F} , P )$を確率空間probability spaceという。
説明
測度論の力を借りれば、確率論のさまざまな概念に対して数学的な土台となり、あいまいさを取り除くことができる。
- 高校課程あるいは確率概論、または数理統計学において、事象とは任意試行random experimentで起こりうる場合であった。数理統計学で確率がすべての事象を集めた集合を定義域として持つ関数として定義されたのとは異なり、今度は逆に$\mathcal{F}$の元を事象といい、標本空間という言葉はもはや使わない。シグマ体$\mathcal{F}$は任意試行が正確にどのようなものかには気を配らず、全体集合$\Omega$とそれに対する形式的な代数体系のみで定義される。したがって、誰が、何を、どのように言うかによって生じうるあいまいさはありえない。
- 確率は標本空間が定義域であり、$[0,1]$が値域であり、確率の加法法則を満たす関数であった。測度論で再定義された確率の概念は、「任意試行」だとか「場合の数」だとかいう単語すら許容しない。測度の定義を考えてみれば、このような確率の定義は、従来慣れ親しんで使ってきた確率の概念を完全にカバーしながらも厳密に一般化したものである。
- 「確率空間」という新しい単語を使ってまでわざわざ定義したのは、もはや空間$\Omega$そのものを$P$によって把握しようという意図がなくもないからだ。基礎的な数理統計学と同様に$\Omega = \mathbb{R}$であれば、$\mathcal{F}$はボレルシグマ体$\mathcal{B}$となり、$(\Omega , \mathcal{F})$を論じる意味がない。あまりに簡単だという意味であり、言い換えれば応用できる範囲が限定的だという話である。測度論を導入することで、確率の世界は途方もなく広大な一般化の局面へと入っていく。まともに勉強しようというなら、この$\Omega$がどれほど奇想天外に与えられるか緊張しなければならないだろう。
関連リンク
Capinski. (1999). Measure, Integral and Probability: p46. ↩︎
