チャップマン-コルモゴロフ方程式の導出
要点
確率過程の遷移確率 $p_{ij}^{(n)}$, $p_{ij}(t)$と遷移確率行列 $P^{(n)}$, $P(t)$について、以下の方程式が成り立つ。
離散確率過程
$$ \begin{align*} p_{ ij }^{ (n+m) } =& \sum _{ k } p_{ ik }^{ (n) } p _{ kj }^{ (m) } \\ P^{(n+m)} =& P^{(n)} P^{(m)} \end{align*} $$
連続確率過程
$$ \begin{align*} p_{ij} (t + s) =& \sum _{ k } p_{ ik } \left( t \right) p _{ kj } \left( s \right) \\ P(t+s) =& P(t) P(s) \end{align*} $$
説明
ステート $i$ から $j$ まで行くのに $n+m$ のステップが $n$ と $m$ に分けられるってことだ。証明しなくても直感的に考えてみれば、$i$ から $k$ まで $n$ ステップで行って、$k$ から $j$ まで $m$ ステップで行く確率は、$i$ から $k$ を経由して $j$ まで行く確率になるし、すべての状態 $k$ に対してこの確率を合計すると、途中が何であれ結局は $i$ から $j$ へ行く確率になるはずだ。
導出
戦略:離散確率過程についてのみ証明する。初めに $X_0$ を $i$ として仮定し、その後「$i$ から始まる」について言及する必要がないようにする。シグマの内側での式は、条件付き確率 $P(A|B)=P(AB)/P(B)$ の両辺に $P(B)$ を掛けると $P(AB)=P(A|B)P(B)$ のように表せることに移行する。
$ { X }_{ 0 }=i$ と仮定すると $$ \begin{align*} { p } _{ ij }^{ (n+m) } =& P({ X }_{ n+m }=j ) \\ =& \sum _{ k }^{ }{ P({ X }_{ m }=j , { X }_{ n }=k) } \\ =& \sum _{ k }^{ }{ P({ X }_{ m }=j | { X }_{ n }=k)P({ X }_{ n }=k) } \\ =& \sum _{ k }^{ }{ { p }_{ ik }^{ (n) } { p }_{ kj }^{ (m) } } \end{align*} $$
■