原始ピタゴラスの三つ組は二つの奇数のみで表すことができる
📂整数論原始ピタゴラスの三つ組は二つの奇数のみで表すことができる
定理
a2+b2=c2を満たす自然数の組a,b,cに対して、
a=b=c=st2s2−t22s2+t2
を満たす互いに素な二つの奇数s>tが存在する。
説明
この定理によると、‘ピタゴラスの三つ組’という言葉はある程度誤解を招くものになる。変数を減らすことができるということは、どの科目においても必ず良いことだ。
証明
(a,b,c)がピタゴラスの三つ組であるから、a2+b2=c2が成立する。aかbが偶数の場合、a,bが全て偶数であると、c2=a2+b2も偶数になり、(a,b,c)は共通の約数2を持ち、これはそれが原始的なピタゴラスの三つ組であるという前提に反する。一般性を失わずに、aを奇数、bを偶数としよう。
パート1. gcd(c−b,c+b)=1
(a,b,c)がピタゴラスの三つ組であるので、a2+b2=c2である。b2を右側に移動すると
a2=c2−b2=(c+b)(c−b)
もしbとcが共通の約数d1=1を持つならば、a2はあるB1,C1に対して
a2=c2−b2=d12(C12−B12)
と表せるので、aもd1の倍数になり、それが原始的なピタゴラスの三つ組であるという仮定に反する。従って、bとcは互いに素である。また、(c+b)と(c−b)が共通の約数d2=1を持つと仮定してみると、d2は
2b=(c+b)−(c−b)2c=(c+b)+(c−b)
の約数であり、bとcが互いに素であるので、d2=2でなければならない。しかし、同様にして、あるC2,B2に対して
a2=c2−b2=d22(C22−B22)
と表せるので、d2=2はaの約数であり、これはaが奇数であることに反する。
パート2. s,tの定義
aの二乗、a2が(c−b)と(c+b)の積のように
a2=(c−b)(c+b)
表されるならば、パート1で(c−b)と(c+b)は互いに素であったことから、それぞれ何らかの数s,tの二乗である必要がある。ここで
s2:=c+bt2:=c−b
とすると、bが偶数でcが奇数であるので、s,tは以下を満たす互いに素な奇数のペアである。
st=(c−b)(c+b)=a2s2−t2=b2s2+t2=c
パート3. 確認
(st)2+(2s2−t2)2===s2t2+4s4−2s2t2+t44s4+2s2t2+t4(2s2+t2)2
さらに、原始的なピタゴラス数はs,tを使って表されるとき、次のを満たす。
gcd(st,2s2−t2)=1gcd(2s2−t2,2s2+t2)=1gcd(2s2+t2,st)=1
従って、st,2s2−t2,2s2+t2は原始的なピタゴラスの三つ組である。
■