抽象代数学における同型
📂抽象代数抽象代数学における同型
定義
二つの二項演算構造 ⟨S,∗⟩ と ⟨S′,∗′⟩ に対し、全ての x,y∈S について
ϕ(x∗ y)=ϕ(x)∗′ϕ(y)
を満たす全単射関数 ϕ:S→S′ が存在する場合、ϕ を同型写像と呼び、S と S′ は同型isomorphicであると言い、S≃S′ と書く。
説明
定義を要約すると、演算を保持する全単射が存在する場合、実質的に同じとみなすということです。抽象代数に限らず、同型isomorphismとして知られるこの写像は、数学全般でとても重要です。
もし ϕ が演算を保持するが全単射ではない場合、これを準同型写像homomorphismという。このように、同型写像ではないが多くの重要な写像が存在し、その研究も無数にあります。
次は、同型写像によって、恒等元の同一性も保持されるという意味の定理です。
定理
同型写像 ϕ により S≃S′ であり、e が S の恒等元であれば、ϕ(e) は S′ の恒等元です。
証明
e が S の恒等元であるため、s∈S に対して
e∗ s=s∗ e=s
ϕ(e∗ s)=ϕ(s∗ e)=ϕ(s)
ϕ が同型写像であるため、s′:=ϕ(s)∈S′ に対して
ϕ(e)∗′ϕ(s)=ϕ(s)∗′ϕ(e)=ϕ(s)
したがって、ϕ(e) は S′ の恒等元です。
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参照