logo

カントールの交差定理 📂解析学

カントールの交差定理

定義1

集合数列 $\left\{ S_{n} \right\}_{n=1}^{\infty}$ が全ての自然数 $n$ に対して $S_{n+1} \subset S_{n}$ が成り立つなら、ネステッドnestedされていると言う。

説明

ネステッドの訳はあまりスムーズではないが、別の選択肢がないので、そのままネステッドNestedと覚えることをお勧めする。

定理

ネステッドされた区間 $[a_{n}, b_{n}]$ について、次が成り立つ。

(a) $\displaystyle \bigcap_{n=1}^{\infty} [a_{n}, b_{n}] \ne \emptyset$

(b) 特に $\displaystyle \lim_{n \to \infty} (b_{n} - a_{n}) = 0$ の場合、 $\displaystyle \bigcap_{n=1}^{\infty} [a_{n}, b_{n}]$ は単元素集合である。

単元素集合 とは、要素がただ一つしか存在しない集合をいう。

証明

(a)

全ての自然数 $n$ に対して、仮定により

$$ [a_{n+1} , b_{n+1} ] \subset [a_{n} , b_{n} ] \\ a_{1} \le a_{n} \le b_{n} \le b_{1} $$

完備性公理により、二つの数

$$ a:=\sup \left\{ a_{n} \right\} \\ b:=\inf \left\{ b_{n} \right\} $$

が存在する。全自然数に対して $a_{n} \le a \le b \le b_{n}$ が成り立つので、 $[a,b] \subset [a_{n} , b_{n} ]$ が成り立ち、結果として

$$ \bigcap_{n=1}^{\infty} [a_{n}, b_{n}] \ne \emptyset $$

(b)

$\displaystyle \lim_{n \to \infty} (b_{n} - a_{n}) = 0$ を仮定すると、 $a=b$ により

$$ \bigcap_{n=1}^{\infty} [a_{n}, b_{n}] = \left\{ a \right\} = \left\{ b \right\} $$

参照


  1. William R. Wade, An Introduction to Analysis (4th Edition, 2010), p55 ↩︎