二重対双対空間
定義1
$X$をベクトル空間としよう。$X^{\ast\ast}$を$X$の双対空間、$X^{\ast}$の双対空間としよう。
$$ X^{\ast\ast} = (X^{\ast})^{\ast} $$
これを$X$の双対双対空間bidual spaceという。
定理
$X$が有限次元ベクトル空間ならば、$X$と$X^{\ast\ast}$は同型である。
$$ X \approx X^{\ast\ast} $$
説明
bidual、double dual、second dualは全て同じ意味である。
上記の定理は$X$が有限次元のときのみ成り立つ。有限次元でない場合は一般的に成り立たず、成り立つ場合は$X$を反射空間reflexive spaceという。
定理で重要な点は、同型写像$\psi : X \to X^{\ast\ast}$を非常に自然に導き出せることである。任意の$x \in X$に対して、$\hat{x} : X^{\ast} \to \mathbb{R}$を次のように定義しよう。
$$ \hat{x} (f) = f(x) \quad \forall f \in X^{\ast} $$
すると、$\hat{x}$は$X^{\ast}$上の線形汎関数となる。今、$\psi : X \to X^{\ast\ast}$を次のように定義しよう。
$$ \psi (x) = \hat{x}\quad \forall x \in X $$
すると定理は次のように記述される。
$X$を有限次元ベクトル空間としよう。$\psi : X \to X^{\ast\ast}$を$\psi (x) = \hat{x}$のように定義しよう。すると$\psi$は同型写像である。
証明
線形性
$x, y \in X$と$k \in \mathbb{R}$としよう。すると任意の$f \in X^{\ast}$に対して、
$$ \begin{align*} \psi (kx + y)(f) = \widehat{kx + y}(f) &= f(kx + y) \\ &= kf(x) + f(y) \\ &= k\hat{x}(f) + \hat{y}(f) \\ &= k\psi (x)(f) + \psi (y)(f) \\ \end{align*} $$
従って、
$$ \psi (kx + y) = k\hat{x} + \hat{y} = k\psi (x) + \psi (y) $$
単射
補助定理
$X$を有限次元ベクトル空間、$x \in X$としよう。全ての$f\in X^{\ast}$に対して$\hat{x}(f) = 0$が成り立つならば、$x=0$が成り立つ。
証明
対偶法で証明する。$x \ne 0$と仮定しよう。すると、$\hat{x}(f) \ne 0$である$f$の存在を示せばよい。任意の順序基底$\beta = \left\{ x_{1}=x, x_{2}, \dots, x_{n} \right\}$を選ぼう。すると、双対基底$\beta^{\ast} = \left\{ f_{1}, \dots, f_{n} \right\}$に対して$f_{1}(x_{1}) = 1 \ne 0$が成り立つ。
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ある$x \in X$に対して、$X^{\ast}$上の汎関数$\psi (x)$が$\psi (x) = 0$であるとしよう。すると全ての$f \in X^{\ast}$に対して、$\psi (x)(f) = \hat{x}(f) = 0$が成り立つ。従って補助定理により、$x=0$が成り立つ。$N(\psi) = \left\{ 0 \right\}$より、$\psi$は単射である。
同型
$X$が有限次元であるため、$X^{\ast}$も有限次元であり、両者の次元は同じである。同様に、$X^{\ast}$と$X^{\ast\ast}$の次元も同じであるため、
$$ \dim (X) = \dim (X^{\ast}) = \dim (X^{\ast\ast}) $$
従って、$\psi : X \to X^{\ast\ast}$が単射であれば全射でもあるから、$\psi$は同型写像である。
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Stephen H. Friedberg, Linear Algebra (4th Edition, 2002), p120-123 ↩︎