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有理型関数の零点と極点 📂複素解析

有理型関数の零点と極点

定理 1

シンプルな閉路 $\mathscr{C}$で、解析的関数 $f$が$\mathscr{C}$ 内で$Z$個の零点と $P$個のを持ち、$\mathscr{C}$上で$f(z) \ne 0$とすると、 $$ {{1} \over {2 \pi i }} \int_{\mathscr{C}} {{f ' (z)} \over {f(z)}} dz = Z - P $$


  • $Z$ と $P$は重複を含む合計だ。

説明

解析的数論

関数 $f : \mathbb{C} \to \mathbb{C}$がを持たない場合、方程式$f(z) = 0$の解の数を数える公式になるだろう。整数が登場したことが注目に値する。一見、複素解析は数論と全く関係がないように見えるが、実際は非常に多く使われている。数論では、「素朴な証明」と呼ばれる、複素解析を使わない証明があるほどだ。

ログトリック

このような形の被積分関数は無意味に思えるかもしれないが、$\log f$の導関数の形である。このような形は思った以上に数学全般で頻繁に登場する。

算術関数の微分: 算術関数$f$の微分または導関数 $f '$ を以下のように定義する。 $$ f ' (n) := f(n) \log n \qquad , n \in \mathbb{N} $$

証明

戦略: 一般性を失わずに、$n$次の零点と$m$次の極をそれぞれ一つだけ持つとする。幾何学的には一点に見えるかもしれないが、代数的には重複度 $n$ と $m$ を持つ、つまり、複数の点が一箇所に集まっているとみなされる。これら二点についての公式を導出し、$\mathscr{C}$を分割して複数の点に一般化すればいい。


パート1. 零点

$\alpha$を$f$の$n$次の零点とすると、何らかの関数$g$に対して、$f(z) = (z- \alpha)^{n} g(z)$と表せられ、その導関数 $$ f ' (z) = n \left( n - \alpha \right)^{n-1} g(z) + (z- \alpha)^{n} g ' (z) $$ を$f(z)$で割ると、次のように左辺をログ微分関数のトリック形で表せる。 $$ {{f ' (z)} \over {f(z)}} = {{n} \over {z - \alpha}} + {{g ' (z)} \over {g(z)}} $$ $\mathscr{C}$上では$f(z) \ne 0$であるため、$\log f$は$\mathscr{C}$全体で解析的である。また、解析的関数の導関数も解析的であるため、$f ' / f$も解析的であり、同様に、$\mathscr{C}$上では$f(z) \ne 0$であるため、$1 / (z - \alpha)$も解析的である。したがって、$\displaystyle {{g ' (z)} \over {g(z)}} = {{n} \over {z - \alpha}} - {{f ' (z)} \over {f(z)}}$も$\alpha$で解析的である。

$f$の他の零点や極を含まない$\alpha$のある近傍$\mathcal{N}_{\alpha}$で、コーシーの積分公式により $$ \int_{\mathcal{N}_{\alpha}} {{n} \over {z - \alpha}} dz = 2 n \pi i $$ コーシーの定理により $$ \int_{\mathcal{N}_{\alpha}} {{g ' (z)} \over {g(z)}} dz = 0 $$ したがって、次の結果を得る。 $$ \int_{\mathcal{N}_{\alpha}} {{f ' (z)} \over {f(z)}} dz = 0 + 2 n \pi i $$


パート2. 極

についても、零点の場合と同様である。$\beta$を$f$の$m$次のとする。すると、何らかの関数$h$に対して$\displaystyle f(z) = {{h(z)} \over {(z - \beta)^m}}$と表せるだろう。

一方$\displaystyle {{f ' (z)} \over {f(z)}} = {{h ' (z)} \over {h(z)}} - {{m} \over {z - \beta}}$で、$\displaystyle {{h ' (z)} \over {h(z)}}$は$\beta$の近傍$\mathcal{N}_{\beta}$で解析的であるので、コーシーの定理により $$ \int_{\mathcal{N}_{\beta}} {{h ' (z)} \over {h(z)}} dz = 0 $$ コーシーの積分公式により $$ \int_{\mathcal{N}_{\beta}} {{m} \over {z - \alpha}} dz = 2 m \pi i $$


パート3. 結論

一般化された縮小補題により、全ての零点に対して今までの計算を有限に繰り返すと、次を得る。 $$ {{1} \over {2 \pi i }} \int_{\mathscr{C}} {{f ' (z)} \over {f(z)}} dz = \sum n_{i} - \sum m_{j} = Z - P $$


  1. Osborne (1999). Complex variables and their applications: p98. ↩︎