幾何分布の無記憶性
📂確率分布論幾何分布の無記憶性
定理
X∼Geo(m) ならば P(X≥s+t,∣,X≥s)=P(X≥t)
説明
幾何分布は、ある事象が起こるまでの試行回数に関心を持つ離散確率分布だ。指数分布の離散化として考えれば、この幾何分布の無記憶性は自然なことだと言えるだろう。
ここで無記憶性memoryless Propertyとは、過ぎ去った時間がこれから起こる事象に影響を与えない性質のことだ。例えば、健康に関するすべての条件が同じであれば、30代の男性と50代の男性のどちらが先に死ぬかはわからない。さらに20年生きたとしても、今日の健康条件が全て同じならば、死のタイマーも今日から再スタートする。さらに極端には、今日明日に生まれる赤ちゃんや今日明日になる高齢者でさえ、行く先には順番がないと言えるだろう。現実的にこれが間違っている理由は、「健康に関するすべての条件が同じだ」という前提が間違っているからだ。
逆に、ある集団に属するすべての成員が同じ前提を満たすことが示せれば、その人々の寿命を予測できるだろう。彼らの寿命が終わるときに一定の報酬金を約束し、期待寿命よりも短い時間でより多くのお金を得ることがまさに保険だ。
証明
P(X≥a)===1−i=0∑a−1m(1−m)i1−m1−(1−m)1−(1−m)a(1−m)a
ゆえに
P(X≥s+t,∣,X≥s)====P(X≥s)P(X≥s+t)(1−m)s(1−m)s+t(1−m)tP(X≥t)
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参照