幾何分布の無記憶性
定理
$X \sim \text{Geo} ( m )$ならば$P(X \ge s+ t ,|, X \ge s) = P(X \ge t)$
説明
幾何分布は、ある事象が起こる回数に関心を置く離散確率分布である。指数分布の離散化というセンスで考えてみると、このような幾何分布の無記憶性は当然であると言えるだろう。
ここで無記憶性memoryless Propertyとは、過ぎ去った時間によってこれから起こることが影響を受けない性質である。例えば、30代の男性と50代の男性が健康に関するすべての条件が同じなら、二人のうちどちらが先に死ぬかはわからない。20年余分に生きたとしても、今日の健康に関する条件がすべて同じなら、死のタイマーも今日から再び始まるのである。より極端には、今日明日にでも生まれる新生児も今日明日をも知れぬ老人も、逝くのに順序はないと言える。現実的にこれが当てはまらない理由は、「健康に関するすべての条件が同じである」という仮定が間違っているからである。
逆に、ある集団に属する構成員全員が同じ仮定を満たすことを示せるなら、彼らの寿命を予測できるだろう。彼らの寿命が尽きるときに一定の補償金を約束し、期待寿命より短い時間の間により多くのお金を受け取ることこそが保険である。
証明
$$ \begin{align*} P( X \ge a) =& 1- \sum_{i=0}^{a-1} m ( 1- m)^{i} \\ =& 1 - m{{1- (1-m)^a } \over {1 - (1-m) }} \\ =& (1-m)^{a} \end{align*} $$ であるので $$ \begin{align*} P(X \ge s+ t ,|, X \ge s) =& {{P(X \ge s+ t)} \over {P(X \ge s)}} \\ =& { {(1-m)^{s+t}} \over {(1-m)^{s}} } \\ =& (1-m)^{t} \\ =& P(X \ge t) \end{align*} $$
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