二項分布の極限分布としてのポアソン分布の導出
定理
$X_{n} \sim B(n,p)$としよう。
もし$\mu \approx np$ならば $$ X_{n} \overset{D}{\to} \text{Poi} (\mu) $$
- $B(n,p)$は試行回数$n$、確率$p$の二項分布だ。
- $\text{Poi} (\lambda)$は平均と分散が$\lambda$のポアソン分布だ。
- $\overset{D}{\to}$は分布収束を意味する。
説明
ここで、$\mu \approx np$という条件が必要であることに注意しよう。$ np \approx npq$であるから、これは$q = (1-p) \approx 1$、すなわち$p \approx 0$を意味する。これは$p$が非常に小さいことを意味する。
一方で、$\displaystyle p \approx { {\mu} \over {n} }$であるから、$n$は非常に大きくなければならない。この条件が出てくる理由は、ポアソン分布の平均と分散が同じであることから簡単に納得できるだろう。
証明
モーメント生成関数$M_{X} (t)$を考えよう。 $$ M_{X} (t) = \left\{ (1-p) + p e^{t} \right\} ^{n} = \left\{ 1 + p (e^{t} - 1 ) \right\} ^{n} $$ $\displaystyle p \approx { {\mu} \over {n} } $であるから、 $$ M_{X} (t) = \left\{ 1 + { {\mu (e^{t} - 1 )} \over {n} } \right\} ^{n} $$ したがって、 $$ \lim_{n \to \infty} M_{X} (t) = e^{ \mu (e^{t} - 1 ) } $$ $ e^{ \mu (e^{t} - 1 ) }$は$\text{Poi}(\mu)$のモーメント生成関数であるから、$X_{n}$は$ \text{Poi} (\mu)$に分布収束する。
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