時系列分析における価値モデル
📂統計的分析時系列分析における価値モデル
モデル
価値モデルは、ARCHモデルを一般化したもので、時系列分析法で異分散を検知するために用いられる。
(1−β1B−⋯−βpBp)σt∣t−12=ω+(α1B+⋯+αqBq)rt2
導出
最も単純なARCH(1)モデルから始めてみることにしよう。
時系列データ{pt}のリターン{rt}が与えられたとし、ラグ1のARCH効果、つまり自己回帰条件付き異分散性を持っているとは、次のように数式で表現できる。
rt=σt∣t−1εt
σt∣t−12=ω+αrt−12
ここで、αとωはまだ未知の係数で、εtは平均が0、分散が1であると仮定されるiidプロセスイノベーション〈イノベーション〉であり、特に白色雑音である必要はない。σt∣t−12は条件付きボラティリティと呼ばれ、以下の数式展開に従い、リターンの二乗rt2はσt∣t−12の不偏推定量になる。
E(rt2∣rt−j,j=1,2,⋯)====E(σt∣t−12εt2∣rt−j,j=1,2,⋯)σt∣t−12E(εt2∣rt−j,j=1,2,⋯)σt∣t−12E(εt2)σt∣t−12
rt2がσt∣t−12の不偏推定量であるとは、ηt:=rt2−σt∣t−12とし、(1)にηtを代入することで、{rt2}に対する自己相関モデルAR(1)を得られるという意味である。
(rt2)=ω+α(rt−12)+ηt
rtがある一定の母集団分散σ2を持つと仮定し、両辺の期待値を取ると
σ2=ω+ασ2
を得る。ここで突然σが出てきて混乱しないように、添字のないσは、元の時系列データptの母集団分散ではなく、そのリターンであるrtの母集団分散であることに注意しなければならない。E(rt)=E(σt∣t−1εt)=0であるため、
σ===var(rt)E(rt2)−E(rt)2E(rt2)
と計算されるものである。少なくともARCH(1)モデルでは、ptが異分散性を持っているのは明らかである。(2)によれば、ω=σ2(1−α)であるため、σt∣t−12について(1)を詳しく見ると、
σt∣t−12==ω+σrt2(1−α)σ2+αrt2
つまり、σt∣t−12はσ2とrtの加重平均として現れ、αが1に近ければ近いほど前のリターンrtの影響を強く受け、0に近づくほどARCH効果がないことを意味する。そうであれば、分析はωに目を向けず、結局、AR(1)モデルで係数σを推定する問題に帰着する。つまり、ARMAモデルの再来というわけだ。
一般化
ARCHモデルの一般化も同じ手順で行えばよい。
σt∣t−12=ω+β1σt−1∣t−22+⋯+βpσt−p∣t−p−12
上記はσt∣t−12の自己回帰モデルAR(p)になるだろうし、
σt∣t−12=ω+α1rt−12+⋯+αqrt−q2
上記はσt∣t−12の移動平均モデルMA(q)になる。このようにして、σt∣t−12に対するARMAモデルARMA(p,q)を一般化されたARCHモデルGARCH(p,q)と呼ぶことができるだろう。バックシフトオペレーターBを使用すると、以下のような単純な式を得ることができる。
(1−β1B−⋯−βpBp)σt∣t−12=ω+(α1B+⋯+αqBq)rt2
概念的に価値モデルがARMAモデルと異ならない場合、その次数p,qを見つける方法も同じであり、同様にEACFを使用した方法をそのまま使うことができる。
一方、ボラティリティクラスタリングをもう少し洗練された方法で定義することができるようになる。「分散が大きくなったり小さくなったりする現象」という曖昧な説明ではなく、「データが高次の価値モデルに従う場合、ボラティリティクラスタリングが存在する」と言えるようになるのだ。
関連項目