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抽象代数で表された代数学の基本定理 📂抽象代数

抽象代数で表された代数学の基本定理

定義 1

FF拡散体EE としよう。

  1. F[x]F [ x ] の全ての多項式がFF でゼロを持つなら、FF代数的に閉じているalgebraically Closedという。
  2. FE:={αEα is algebraic over F}\overline{ F_{E}} : = \left\{ \alpha \in E \mid \alpha \text{ is algebraic over } F \right\}EE 内のFF代数的閉包algebraic Closureという。

定理

  • [1]: FF が代数的に閉じている場合、    \iff すべてのf(x)F[x]f(x) \in F [ x ]F[x]F [ x ]11 次元の項に分解される。
  • [2]: 代数的に閉じたFF に対しFEF \lneq E を満たす代数的拡散体 EE は存在しない。
  • [4]: FE\overline{ F_{E}}EE の部分体だ。

  • ここでいう多項式はもちろん、定数関数を除く多項式を意味する。

説明

F\overline{F}EE まで拡張した時、FF をカバーしながら我々が代数的に得られる要素の集まり全てを取り上げる集合だ。位相数学に少し慣れているならFF射影集合 ff ' を合わせて得られる閉集合F=Ff\overline{F} = F \cup f ' の感じで捉えてもいい。

これらの表現と定理を通じて、代数学の基本定理を次のように述べることができる。

複素数体 C\mathbb{C} は代数的に閉じている。

これを解き明かすと定理 [1] によって複素数を係数とする多項式たちはC[x]\mathbb{C} [ x ]11 次の項に分解されることで、重根を含め、まさに最高次の項の次数と同じ数の零点を持つことになる。これはそのまま我々が元々知っていた代数学の基本定理と等価になる。

また、定理 [2] によってC\mathbb{C} を真部分集合proper subsetとして持つ代数的拡散体は存在しないことが保証される。これはすなわちC\mathbb{C}より大きな体を考える理由がないということで、実質的に我々が扱う体の中でC\mathbb{C} が最も大きいというように受け止めても良い。この事実は、関数解析学などで扱うベクター空間でスカラー場を複素数体として研究することを正当化してくれる。

証明

複素解析によって証明される。


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p286~287. ↩︎