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シンプル拡大体 📂抽象代数

シンプル拡大体

定義 1

$F$ の 拡大体 $E$ がある $\alpha \in E$ に対して $E = F( \alpha )$ ならば $E$ を $F$ の単純拡大体simple Extensionと呼ぶ。

説明

簡単に言えば、$F ( \alpha )$ は $F$ になかった $\alpha$ を一つsimpleだけ追加して拡張したことと見ることができる。実数体 $\mathbb{R}$ について言えば、その 拡大体 $\mathbb{C}$ に $i \in \mathbb{C}$ を加えると $\mathbb{R} ( i ) = \mathbb{C}$ になる。

重要な事実として、$\alpha \in E$ に対して $E = F ( \alpha )$ ならば、すべての $\beta \in E$ は $$ \beta = b_{0} + b_{1} \alpha + \cdots + b_{n} \alpha^n $$ のように一意に表される。この時、$\left\{ b_{k} \right\}_{k =1}^{n}$ は $F$ の元であり、実数体の単純拡大体としての複素数体を考えると、すべての複素数 $z \in \mathbb{C}$ は何らかの $x , y \in \mathbb{R}$ に対して $$ z = x_{0} + y_{0} i + x_{1} i^2 + y_{1} i^3 + \cdots = x + i y $$ と表すことが簡単に確認できる。

また、単純拡大体の面白い例としては、整数に複素数 $i$ と $\omega$ を加えた ガウス整数 $\mathbb{Z} [i]$アイゼンシュタイン整数 $\mathbb{Z} [\omega]$ を考えることができる。


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p270. ↩︎