シンプル拡大体
📂抽象代数シンプル拡大体
定義
F の 拡大体 E がある α∈E に対して E=F(α) ならば E を F の単純拡大体simple Extensionと呼ぶ。
説明
簡単に言えば、F(α) は F になかった α を一つsimpleだけ追加して拡張したことと見ることができる。実数体 R について言えば、その 拡大体 C に i∈C を加えると R(i)=C になる。
重要な事実として、α∈E に対して E=F(α) ならば、すべての β∈E は
β=b0+b1α+⋯+bnαn
のように一意に表される。この時、{bk}k=1n は F の元であり、実数体の単純拡大体としての複素数体を考えると、すべての複素数 z∈C は何らかの x,y∈R に対して
z=x0+y0i+x1i2+y1i3+⋯=x+iy
と表すことが簡単に確認できる。
また、単純拡大体の面白い例としては、整数に複素数 i と ω を加えた ガウス整数 Z[i] と アイゼンシュタイン整数 Z[ω] を考えることができる。