多項式環
定義 1
$$ f(x) : = \sum_{k=0}^{n} a_{k} x^{k} = a_{0} + a_{1} x + \cdots + a_{n} x^{n} $$ 環 $R$ 上の多項式polynomial $f(x)$ を上記のように定義する。
- $a_{i} \in R$ を$f(x)$ の係数coefficientという。
- $n < \infty$ の場合、$n$ を$f(x)$ の次数degreeという。
- $R[x]$ は$R$ の元を係数とする有限多項式の集合である。 $$ R[x] := \left\{ a_{0} + a_{1} x + \cdots + a_{n} x^{n} \ | \ a_{0}, \cdots , a_{n} \in R \right\} $$
- $R[[x]]$ は$R$ の元を係数とする無限多項式の集合である。 $$ R[[x]] := \left\{ a_{0} + a_{1} x + \cdots + a_{n} x^{n} + \cdots \ | \ a_{0}, \cdots , a_{n} , \cdots \in R \right\} $$
説明
遠回りをして、ついに中学・高校で習った「代数学」に戻ってきた。多項式を再定義する理由は、多項式’式’を群、環、体のある元として見て扱うためである。
このことについて、次の重要な定理を知るべきである。たいしたことないように見えるかもしれないが、多項式の環が元の環の有用な性質を保存することを保証する事実である。
定理
- [1]: $R$ が環ならば、$R[x]$ も多項式の加算および乗算に関して環である。
- [2]: $R$ が可換環ならば、$R[x]$ も可換環である。
- [3]: $R$ が単位元 $1 \ne 0$ を持てば、$R[x]$ も単位元 $1 \ne 0$ を持つ。
これらの定理は$R[x]$ について成り立つ場合、$R[[x]]$ にも適用される。
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p199. ↩︎