第2同型定理の証明
📂抽象代数第2同型定理の証明
サマリー
- 第一同型定理:準同型写像ϕ:G→G′が存在すれば
G/ker(ϕ)≃ϕ(G)
- 第二同型定理:H≤GかつN◃Gならば
(HN)/N≃H/(H∩N)
- 第三同型定理:H,K◃GかつK≤Hならば
G/H≃(G/K)/(H/K)
同型定理は、代数学者のエミー・ネーターによって証明され、上述の3つの独立した定理を指す。
- kerはカーネルである。
- N◃Gは、NがGの正規部分群であることを意味する。
解説
第二同型定理が使用されるほとんどの場合で、HN:={hn ∣ h∈H,n∈N}は二つの正規部分群H,N◃Gの積として考えても問題ないが、これはHN◃Gが簡単な計算を通じて容易に示される。第二同型定理の商群の表現を少し修正すると
NHN≃H∩NH
これは、分子と分母で共通する因子を消す、いわば「約分」と見ることができるだろう。
証明
戦略:ϕ:HN→H/(H∩N)を
ϕ(hn):=h(H∩N)
と定義しよう。ϕが典型的な写像で、Nがkerϕであることを示した後、第一同型定理を使えば証明は完結する。
Part 1. ϕは関数だ。
- ϕの定義域はHNであるため、x∈HNとすれば、あるhx∈Hとnx∈Nの積x=hxnxとして表される。
- ϕの値域はH/(H∩N)であるため、ϕによるx∈HNの関数値ϕ(x)は、剰余類(H∩N)であるHの元hx∈Hが左から乗じた形hx(H∩N)として現れる。
したがって、x,y∈HNに対して
⟹⟹⟹⟹⟹⟹⟹x=yhxnx=x=y=hynyH∋hy−1hx=nynx−1∈Nhy−1hx∈(H∩N)hx∈hy(H∩N)hx(H∩N)=hy(H∩N)ϕ(hxnx)=ϕ(hyny)ϕ(x)=ϕ(y)
となるので、ϕは関数である。
Part 2. ϕは準同型写像だ。
h1n1,h2n2∈HNに対して
ϕ((h1n1)(h2n2))====ϕ(h1h2n1n2)h1h2(H∩N)h1(H∩N)h2(H∩N)ϕ(h1n1)ϕ(h2n2)
したがって、ϕは準同型写像である。
Part 3. ϕは全射だ。
eをNの単位元としよう。そうすると、すべてのh(H∩N)∈H/(H∩N)に対して
ϕ(hn)=h(H∩N)
条件を満たすhe=h∈HNが存在するので、ϕは全射である。
Part 4. N=ker(ϕ)
(⊂)n∈Nならばϕ(n)=ϕ(en)=e(H∩N)=H∩Nであるので
n∈ker(ϕ)
(⊃)hn∈ker(ϕ)ならばϕ(hn)=H∩Nからhn∈(H∩N)であるので
hn∈N
Part 5.
第一同型定理:準同型写像ϕ:G→G′が存在すればG/ker(ϕ)≃ϕ(G)
ϕ:HN→H/(H∩N)は準同型写像であり全射であるので、ϕ(NH)=H/(H∩N)。一方で、N=ker(ϕ)のため、第一同型定理により以下が成立する。
(HN)/N≃H/(H∩N)
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