フーリエ級数を用いた偏微分方程式の解法
📂偏微分方程式フーリエ級数を用いた偏微分方程式の解法
定義
ヒルベルト空間の関数 f∈L2[−π,π] について ak=π1∫−ππf(x)coskxdx そして bk=π1∫−ππf(x)sinkxdx について
f(x)∼2a0+k=1∑∞(akcoskx+bxsinkx)
を f のフーリエ級数fourier seriesと言う。
説明
テイラー級数がある関数を多項式で近似するのと違って、フーリエ級数は三角多項式で近似する。このように複雑な形をしたフーリエ級数は、従来のテイラー級数ではアプローチが難しい様々な関数に適用できるため、便利だ。しかし、フーリエ級数が収束するかについての保証はなく、収束しても正確にf に収束するかは別の問題だ。学部レベルの偏微分方程式の解析のため、このような問題はいったん置いておくが、この欠陥については知っておく必要がある。
便宜上、これからは=を∼の代わりに使用することにする。なぜフーリエ級数をそのような形で定義するのかを見てみよう。L2 がLp から p=2 の場合であるので、f,g:[−π,π]→R に対して次のように内積とノルムを定義できる。
⟨f,g⟩:=π1∫−ππf(x)g(x)dx∥f∥:=⟨f,f⟩:=π1∫−ππ∣f(x)∣2dx
偶関数sinkx と奇関数coskx は k=l に対して ⟨coskx,coslx⟩=⟨sinkx,coslx⟩=0 だ。もちろんk=l に対しても ⟨coslx,sinlx⟩=⟨sinlx,coslx⟩=0 だ。三角関数同士の内積で0 にならない場合は⟨coslx,coslx⟩=0=⟨sinlx,sinlx⟩ だけだ。
以上の事実を利用して ⟨f,coslx⟩f を計算してみると、内積の線形性により
⟨f,coslx⟩=2a0⟨1,coslx⟩+k=1∑∞(ak⟨coskx,coslx⟩+bx⟨sinkx,coslx⟩)=al
を得る。同様に⟨f,sinlx⟩=bl を得ることができ、
⟨f,1⟩=2a0⟨1,1⟩=2a0∥1∥2=2a0
だ。
f を三角多項式で近似することは、f を三角関数のベクトル空間へ射影することだ。線形代数の観点から各項について考えると、その形状は⟨f(x),cosnx⟩cosnx または ⟨f(x),sinnx⟩sinnx であり、関数 f を基底 {cosnx,sinnx ∣ n∈N} へ射影することと見なせる。
奇関数と偶関数の性質を利用することで、これだけではなく、以下の公式を通じて計算量を大幅に削減できる。
f∈L2[−π,π] が奇関数の場合、ak=π2∫0πf(x)coskxdx に対して
f(x)∼2a0+k=1∑∞akcoskx
f∈L2[−π,π] が偶関数の場合、bk=π2∫0πf(x)sinkxdx に対して
f(x)∼k=1∑∞bksinkx
一方、f,g:[−π,π]→C に対して次のような定義を導入すると、複素数への一般化が可能だ。
⟨f,g⟩:=2π1∫−ππf(x)g(x)dx
∥f∥:=⟨f,f⟩:=2π1∫−ππ∣f(x)∣2dx
f(x)∼k∈Z∑ckeikx=⋯+c−2e−i2x+c−1e−ix+c0+c1eix+c2ei2x+⋯
ck=⟨f,eikx⟩=2π1∫−ππf(x)e−ikxdx
オイラーの公式から、coskx=2eikx+e−ikx そして sinkx=2ieikx−e−ikx であるため、
ck+c−k====2π1∫−ππf(x)(eikx+e−ikx)dx2π1∫−ππf(x)⋅2coskxdxπ1∫−ππf(x)coskxdxak
同様にbk=i(ck−c−k) を得ることができる。
したがって、一見標準化定数が変わったように見えるが、実際は f,g:[−π,π]→R をきちんとカバーしていることがわかる。ご覧の通り、これらの技術を少なくとも大まかに理解するためには、線形代数学、複素解析学、実解析学などの背景知識が必要だ。
参照