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支配収束定理の証明 📂測度論

支配収束定理の証明

定理 1

測定可能集合 $E \in \mathcal{M}$ と $g \in \mathcal{L}^{1} (E)$ について、数列の測定可能関数 $\left\{ f_{n} \right\}$ が $E$ のほとんど至る所で $|f_{n}| \le g$ を満たすとする。もし、$E$ のほとんど至る所で $\displaystyle f = \lim_{n \to \infty} f_{n}$ ならば、$f \in \mathcal{L}^{1}(E)$ が成り立つ。 $$ \lim_{ n \to \infty} \int_{E} f_{n} (x) dm = \int_{E} f dm $$


説明

単調収束定理と比べると、条件 $f_{n} \nearrow f$ がなく、$f_{n} \ge 0$ である必要もなくなった。

興味深いことに、$\left\{ f_{n} \right\}$ を「支配」できる $g$ が必要だが、結果には $g$ が現れない。

証明

パート 1.

$f \in \mathcal{L}^{1}(E) $ であることを示す。

$E$ で $|f_{n}| \le g$ があるため、すべての $x \in E$ に対して $-g(x) \le f_{n} \le g(x)$ が成り立つ。整理すると、 $$0 \le f_{n} (x) + g(x) \le 2 g(x)$$ で、$n \to \infty $ の時、 $$0 \le f (x) + g(x) \le 2 g(x)$$ したがって、 $$(f+g) \in \mathcal{L}^{1}(E)$$ 一方で、$f = (f + g ) + ( -g)$ であり、$\mathcal{L}^{1}(E)$ はベクトル空間であるため、$f \in \mathcal{L}^{1}(E)$ が成り立つ。


パート 2.

$f_{n} \ge 0$ と仮定する。

ファトゥの補題: 非負の測定可能関数の数列 $\left\{ f_{n} \right\}$ に対して、 $$\displaystyle \int_{E} f dm \le \liminf_{n \to \infty} \int_{E} f_{n} dm $$

仮定とファトゥの補題により、 $$\displaystyle \int_{E} f dm \le \liminf_{n \to \infty} \int_{E} f_{n} dm $$ であり、$\displaystyle \limsup_{n \to \infty} \int_{E} f_{n} dm \le \int_{E} f dm $ を示せばよい。

$g-f_{n}$ にファトゥの補題を再適用すると、 $$\displaystyle \int_{E} \lim_{n \to \infty} (g - f_{n}) dm \le \liminf_{n \to \infty} \int_{E} (g - f_{n} ) dm $$ となる。ここで、$f, g \ge 0$ であるため、左辺は $$\displaystyle \int_{E} \lim_{n \to \infty} (g - f_{n}) dm =\int_{E} g dm - \int_{E} f dm$$ 右辺は $$ \begin{align*} & \liminf_{n \to \infty} \int_{E} (g - f_{n} ) dm \\ =& \liminf_{n \to \infty} \left( \int_{E} g dm - \int_{E} f_{n} dm \right) \\ =& \int_{E} g dm - \limsup_{n \to \infty} \int_{E} f_{n} dm \end{align*} $$ 整理すると、 $$ \int_{E} g dm - \int_{E} f dm \le \int_{E} g dm - \limsup_{n \to \infty} \int_{E} f_{n} dm $$ $g \in \mathcal{L}^{1} (E)$ であるため、$\displaystyle \int_{E} g dm < \infty$ が成り立ち、両辺から削除が可能で、符号を整理すると以下を得る。 $$\limsup_{n \to \infty} \int_{E} f_{n} dm \le \int_{E} f dm$$


パート 3.

$f_{n} \ge 0$ でない場合に一般化する。$h_{n} := f_{n} + g$ と定義すると、$h_{n} \ge 0$ であるため、パート 2で行ったプロセスを繰り返すことができる。


  1. Capinski. (1999). Measure, Integral and Probability: p92. ↩︎