単射, 全射, 全単射, 逆関数
定義 1
$x \in X$ と $y \in Y$ と $f: X \to Y$が関数だとしよう。
- あらゆる $x_{1}, x_{2} \in X$ に対して $x_{1} \ne x_{2} \implies f(x_{1}) \ne f(x_{2})$ ならば $f$ を単射injectiveという。
- $f(X) = Y$ ならば $f$ を全射surjectiveという。
- $f$ が単射であり、かつ全射ならば全単射bijectiveという。
- $I(x) = x$ を満たす $I : X \to X$ を恒等関数identity functionという。
- あらゆる $x, y$ に対して $f(x) = y$ かつ $f^{-1} (y) = x$ を満たす時、$f^{-1} : Y \to X$ を$f$ の逆関数inverse functionという。
基礎的性質
- [2]: $f$ が全単射であることと逆関数 $f^{-1}$ が存在することは同値だ。
説明
- 単射を一対一one-to-one、あるいは一対一関数ともいう。
- 全射をontoともいう。
- 全単射を一対一対応1-1 correspondingともいう。
入試数学では本当に重要でないと思われがちだが、一対一対応はとても重要な概念である。数学で苦労してる多くの学生は、この事実を聞いたことがないか、聞いても問題解決に役立たないと思うことが多い。まったく間違っているわけではないが、このレベルを知らなければ、問題解決に必要な他のこともよく知らない可能性が高い。
それなりにできる学生も、大学レベルの数学に触れた時に初めて全単射を本当に理解することが多い。一対一対応は集合論に限らず、広大な数学の世界で、それがどんな科目であれ、最も重要な概念である。しかし、そのほど強力で良好な条件なので、逆説的に、数学者は全単射の条件を緩和する方向で研究することになる。どのようにして他の条件で全単射であるかを導出するか、実際には全単射ではないが全単射として使うことができるかなどだ。
どれほど重要かを簡単に説明すると、「本当に重要だから正確に知っておくべきだ」と言う必要もないほどだ。好むと好まざるとにかかわらず、全単射はあらゆる科目で出てくるので、むしろ卒業するまでに全単射を正確に知らない方が難しいだろう。
李興天 訳, 林游峰. (2011). 集合論(Set Theory: An Intuitive Approach): p165, 181~187. ↩︎