抽象代数学における交代群
📂抽象代数抽象代数学における交代群
定義
対称群 Sn の偶置換から成る群を交代群と呼び、An と表す。
定理
n≥2 に対して
∣An∣=2∣Sn∣=2n!
説明
An の位数orderが正確に ∣Sn∣ の半分であることは非常に興味深い特性である。交代群は後に 5 次以上の方程式が根の公式を持たないことを示す時に使われるので、非常に重要な群であると言える。
証明
まず An が群であることを示さなければならない:
- (i): 偶置換同士の合成は偶置換であるため、An は演算 ∘ に対して閉じている。
- (ii): An⊂Sn であるので、結合法則が成り立つ。
- (iii): 恒等関数 ι=[1122⋯⋯nn] は偶数の 0 個の転置で表されるため、偶置換であり、An は単位元 ι を持つ。
- (iv): 任意の置換 (i,j) に対して、(i,j)(i,j)=ι であるため、偶置換の逆元も偶置換である。
今 ∣An∣=2n! であることを示すために、便宜上 Anc:=Sn∖An とする。全単射 f:An→Anc が存在するならば、
∣An∣=∣Anc∣n!=∣Sn∣=∣An∣+∣Anc∣
であるため、∣An∣=2n! になる。
最後に具体的に関数 f(x)=(1,2)x が全単射であることを示せば、証明は完了である。 - f(σ)=f(τ) ならば (1,2)σ=(1,2)τ で、両辺に (1,2) を掛ければ σ=τ となり、従って f は単射である。 - 任意の ξ∈Anc に対して、(1,2)ξ は偶置換であり、f((1,2)ξ)=(1,2)(1,2)ξ=ξ であるため、f は全射である。
従って、次のことが成り立つ。
∣An∣=2∣Sn∣=2n!
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ヒント
(iii)で単位元の存在を明らかにする部分をよく見れば、なぜ偶数の置換を使うのかがわかるはずだ。