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チェビシェフの不等式の証明 📂レンマ

チェビシェフの不等式の証明

定理 1

確率変数XXの分散σ2<\sigma^2 < \inftyが存在し、ある正数k>0k>0に対して P(Xμkσ)1k2 P(|X-\mu| \ge k\sigma) \le {1 \over k^2}

説明

形が比較的シンプルで、式の操作が容易であり、結果も一目でわかるため、補題としてよく使用される。ただし、マルコフの不等式と比較すると、分散が存在する必要があるという条件が1つ多い。

22次のモーメントが存在する必要があるという条件を、あまりにも簡単で当然と思うかもしれない。ある程度はその通りだが、少なくとも学部生になれば、その存在性そう当たり前ではないという事実くらいは知っておくべきだ。

証明

戦略:マルコフの不等式から始めて、二乗が含まれる不等式は絶対値に関する不等式に変換しても同じであることを利用する。仮定で分散が存在するので、平均μ\muの存在性を証明する必要はない。


u(X):=(Xμ)2u(X) : =(X-\mu)^2とする。

マルコフの不等式 P(u(X)c)E(u(X))c P(u(X) \ge c) \le {E(u(X)) \over c}

c:=k2σ2c:=k^2 \sigma^2とすると P((Xμ)2k2σ2)E((Xμ)2)k2σ2 P((X-\mu)^2 \ge k^2 \sigma ^2) \le {E((X-\mu)^2) \over {k^2 \sigma^2}} P((Xμ)2k2σ2)=P(Xμkσ)P((X-\mu)^2 \ge k^2 \sigma ^2) = P(|X-\mu| \ge k \sigma)であり、E((Xμ)2)=σ2E((X-\mu)^2)=\sigma^2なので P(Xμkσ)1k2 P(|X-\mu| \ge k \sigma) \le {1 \over k^2}


  1. Hogg et al. (2013). Introduction to Mathematical Statistcs(7th Edition): p69. ↩︎