抽象代数学における可換群
定義 1
群 $\left< G, \ast\ \right>$の二つの元$a, b$に対して$a \ast\ b = b \ast\ a$が成り立つ場合、$\left< G, \ast\ \right>$を可換群Abelian groupと定義する。
説明
可換とは「交換法則が成り立つ」という意味で捉えてもいい。英語ではCommutativeの代わりにAbelianという言葉が使われており、これは天才数学者アーベルにちなんで名付けられた。もちろん、韓国語でアーベル群と呼んでも、意味の伝達上全く問題はない。
可換群となると、もうかなり多くの条件を満たしたため、想像しにくい構造ではない。群でありながら可換群になれない例を見てみよう。
逆行列が存在する正方行列の集合$\text{GL}_{n} (\mathbb{R}) = \left\{ A \in \mathbb{R}^{n \times n} \ | \ \det A \ne 0 \right\}$において、群$\left< \text{GL}_{n} (\mathbb{R}) , \cdot \right>$は可換群ではない。
- 行列の乗算は交換法則が成り立たない。
行列の操作を扱う上で乗算では交換法則が成り立たないことが重要だと認識されることが多い。それだけ交換法則は我々が日常で扱う数において当然の性質であるため、注意すべきことを意味している。逆に言えば、交換法則を満たす例はかなり多く、それらの例は通常、我々にとって親しいものであることを意味している。
群$\left< \mathbb{R} , + \right>$は可換群である。
- 実数の加算は交換法則が成り立つ。
我々にとって最も身近な実数だけ考えてもそうだし、複素数や有理数、整数も同様である。通常、群でありながら可換群でない例を見つける方がずっと難しい。
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p39. ↩︎