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B-スプラインの性質 📂フーリエ解析

B-スプラインの性質

性質1

オーダーが$m\in \mathbb{N}$のB-スプライン$N_{m}$は、次の性質を満たす。

(a) $\mathrm{supp}N_{m}=[0,m] \quad \text{and} \quad N_{m}(x)>0 \text{ for } x\in(0,m)$

(b) $\displaystyle \int _{-\infty} ^{\infty} N_{m}(x)dx=1$

(c) $m\ge 2$に対して、下の式が成立する。

$$ \begin{equation} \sum \limits_{k \in \mathbb{Z}} N_{m}(x-k)=1,\quad \forall x\in \mathbb{R} \end{equation} $$

(c’) $m=1$の場合、上の式は$x\in \mathbb{R}\setminus \mathbb{Z}$に対して成立する。

説明

(c) とは言い換えると、$\left\{ N_{m}(x-k) \right\}_{k}$が単位分割であるという意味だ。

証明

(b)

  • Step 1. $m=1$の場合成立する。

    $N_{1}$の定義により自明に次の式が成立する。

    $$ \int _{-\infty} ^{\infty} N_{1}(x)dx=\int _{0}^{1} dx = 1 $$

  • Step 2. $m$の場合成立すれば、$m+1$の場合も成立する。

    ある$m\in \mathbb{N}$に対して

    $$ \int _{-\infty} ^{\infty} N_{m}(x)dx=1 $$

    が成立すると仮定しよう。すると定義により

    $$ \begin{align*} \int N_{m+1}(x)dx &= \int N_{m} \ast N_{1}(x)dx \\ &= \int_{x} \int_{t}N_{m}(x-t)N_{1}(t)dtdx \\ &= \int_{t}N_{1}(t) \int_{x}N_{m}(x-t)dxdt \\ &= \int N_{1}(t)dt \\ &= 1 \end{align*} $$

  • Step 3.

    数学的帰納法によって、任意の$m\in N$に対して次が成立する。

    $$ \int _{-\infty} ^{\infty} N_{m}(x)dx=1 $$

(c)

  • Step 1. $m=2$の場合成立する。

    $$ N_{2}(x) = \begin{cases} x & 0\le x \le 1 \\ -x+2 & 1 \le x \le 2 \\ 0 & \text{otherwise} \end{cases} $$

    だから

    $$ \begin{align*} N_{2}(x-k) =&\ \begin{cases} x-k & k\le x \le k+ 1 \\ -x+k+2 & k+1 \le x \le k+2 \\ 0 & \text{otherwise} \end{cases} \\ N_{2}(x-(k-1)) =&\ \begin{cases} x-k+1 & k-1\le x \le k \\ -x+k+1 & k \le x \le k+1 \\ 0 & \text{otherwise} \end{cases} \end{align*} $$

    が成立する。ある$j\in \mathbb{Z}$に対して$j \le x_{0} \le j+1$としよう。すると

    $$ N_{2}(x_{0}-k)=0,\quad k\in \mathbb{Z}\setminus \left\{ j,j-1 \right\} $$

    が成立する。従って

    $$ \begin{align*} \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} N_{2}(x_{0}-k) =&\ N_{2}(x_{0}-j)+N_{2}(x_{0}-(j-1)) \\ =&\ (x_{0}-j)+(-x_{0}+j+1) \\ =&\ 1 \end{align*} $$

    が成立する。これは任意の$x_{0}$に対して成立するので

    $$ \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} N_{2}(x-k) =1 $$

  • Step 2. $m$の場合成立すれば、$m+1$の場合も成立する。

    ある$m\in \mathbb{N}$に対して$(1)$が成立すると仮定しよう。すると定義によって次が成立する。

    $$ \begin{align*} \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} N_{m+1}(x-k) =&\ \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} \int_{0} ^{1} N_{m}(x-k-t)dt \\ =&\ \int_{0} ^{1} \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} N_{m}(x-k-t)dt \\ =&\ \int_{0}^{1} dt \\ =&\ 1 \end{align*} $$

    二番目の等式は$\sum _{k\in \mathbb{Z}}$が**Step 1.**で示されたように有限和であるので成立する。

  • Step 3.

    数学的帰納法によって、任意の$m\in \mathbb{N}$に対して次が成立する。

    $$ \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} N_{m}(x-k) =1 $$

(c')

$N_{1}$の定義によって

$$ \sum \limits _{k\in \mathbb{Z}} N_{1}(x-k) =\begin{cases} 1 & x\in \mathbb{R}\setminus\mathbb{Z} \\ 2 & x \in \mathbb{Z} \end{cases} $$


  1. Ole Christensen, Functions, Spaces, and Expansions: Mathematical Tools in Physics and Engineering (2010), p205-206 ↩︎