ディラックのデルタ関数が正則化された分布ではないことの証明
📂シュワルツ超函数ディラックのデルタ関数が正則化された分布ではないことの証明
定理
δ(ϕ):=ϕ(0),ϕ∈D
上のように定義されたディラック・デルタ関数は正則超関数ではない。正則超関数ではない超関数を特異超関数singular distributionという。
説明
正則超関数とは、下のように定義される超関数で、対応する局所可積分な関数 uが存在するものを言う。
Tu(ϕ):=∫u(x)ϕ(x)dx,ϕ∈D
ディラック・デルタ関数が正則超関数でないというのは、下の条件を満たす局所可積分な uが存在しないということである。
∃u s.t. ∫u(x)ϕ(x)dx=δ(ϕ)=ϕ(0),ϕ∈D
証明
背理法による証明。
次のような式を満たす局所可積分な関数 uが存在すると仮定しよう。
∫u(x)ϕ(x)dx=δ(ϕ)=ϕ(0),ϕ∈D
今、以下のようなテスト関数を考える。
η(x)={ex2−11,0∣x∣<1∣x∣≥1,ηm(x)=η(mx)={e(mx)2−11,0∣mx∣<1∣mx∣≥1,∀m∈N
すると、ηmのグラフは下のようになる。

また、すべての mに対して、ηm(0)=η(0)=e−1を満たし、サポートは supp ηm=[−m1,m1]である。したがって、(eq1)の積分は以下のように書くことができる。
δ(ηm)=∫Ru(x)ηm(x)dx=∫−m1m1u(x)ηm(x)dx=ηm(0)=e−1
上の式に m→∞の極限を取ると、次を得る。
m→∞lim∫−m1m1u(x)ηm(x)dx=e−1
また、(eq2)を考えると、ηmのイメージは[0,e−1]である。したがって、ηmはe−1によってバウンドされる。uも積分可能である条件により何らかの M>0によってバウンドされる。従って、次が成立する。
∫−m1m1u(x)ηm(x)dx=∫Rχ[−m1,m1](x)u(x)ηm(x)dx≤∫Re−1χ[−m1,m1](x)u(x)dx≤e−1m2M
すると、優収束定理によって、次の式が成り立つ。
m→∞lim∫−m1m1u(x)ηm(x)dx=m→∞lim∫Rχ[−m1,m1](x)u(x)ηm(x)dx=∫Rm→∞limχ[−m1,m1](x)u(x)ηm(x)dx=0
(eq3)と(eq4)は互いに矛盾するので、仮定が間違っていたことがわかる。したがって、ディラック・デルタ関数は正則超関数ではない。
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