三次元空間の曲線座標系
📂数理物理学三次元空間の曲線座標系
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3次元空間で位置を表現する最も一般的な方法はデカルト座標系だ。デカルトによって考案されたのでこの名前が付けられ、また直交座標系ともよく呼ばれる。しかし、特定の状況下ではデカルト座標系で位置を表現するのが難しい場合がある。例えば、2次元平面で回転運動をしている物体があるとする。その場合、この物体の位置を(x,y)で表現するよりも(r,θ)で表現した方がずっと簡単だ。特定の状況と言ったが、実際には物理的な問題を解決する際にこれらの状況が思った以上によく現れる。そのため、そのような問題を解決するためにデカルト座標系以外の座標系を導入する必要性があり、それについて数学的によく整理されたものが曲線座標系だ。3次元空間のどんな座標系が使用するには、以下のような条件を満たさなければならない。
- (a) デカルト座標系と変換可能でなければならない。
- (b) 各座標の方向は互いに直交しなければならない。
既存の座標系と互いに変換できない場合、新しい座標系を作る意味がないため (a) は必須だ。また、内積が数学的にどれだけ便利な演算かを考えれば、(b) を満たさない座標系もまた良い座標系になり得ない。今度は新しい曲線座標系の座標をq1、q2、q3で表そう。その場合、条件 (a) によって次のように表される必要がある。
xyz=x(q1,q2,q3)=y(q1,q2,q3)=z(q1,q2,q3)andq1q2q3=q1(x,y,z)=q2(x,y,z)=q3(x,y,z)
また、各座標の単位ベクトルをq^1、q^2、q^3と表す。さらに、各座標の順序は右手の法則に従うとしよう。これを条件 (b) のように表すと、次のようになる。
q^i⋅q^j=δij
(q^1×q^2)⋅q^3>0
面積=長さ2、体積=長さ3なので、曲線座標系での長さがどのように表されるかを見てみよう。ある位置ベクトルrの座標がわずかに変わったとしよう。しかし、さまざまな座標系を考えると、変数が必ずしも長さの単位である必要はない。例えば、極座標系で角度であるθが変わるたびに、位置が変わる距離は弧の長さl=rθで表される。そのため、drの成分が長さの次元を持つように補正する何かをhiとすると、drは次のように表されることができる。
dr=h1dq1q1^+h2dq2q2^+h3dq3q3^
したがって、微小長さの二乗は次のようになる。
ds2=dr⋅dr=(h1dq1)2+(h2dq2)2+(h3dq3)2
また、微小体積は次のようになる。
dV=h1h2h3dq1dq2dq3
ここで、各成分に対して長さの次元を持たせるための補正をするその何か、つまりhiがどのように表されるかを見てみよう。一方、r=r(q1,q2,q3)の変化量である全微分は次のようになる。
dr=∂q1∂rdq1+∂q2∂rdq2+∂q3∂rdq3
するとrが変化した分の長さの二乗は次のようになる。
ds2=dr2=dr⋅dr=(∂q1∂rdq1+∂q2∂rdq2+∂q3∂rdq3)⋅(∂q1∂rdq1+∂q2∂rdq2+∂q3∂rdq3)=∂q1∂r⋅∂q1∂rdq1dq1+∂q1∂r⋅∂q2∂rdq1dq2+∂q1∂r⋅∂q3∂rdq1dq3+∂q2∂r⋅∂q1∂rdq2dq1+∂q2∂r⋅∂q2∂rdq2dq2+∂q2∂r⋅∂q3∂rdq2dq3+∂q3∂r⋅∂q1∂rdq3dq1+∂q3∂r⋅∂q2∂rdq3dq2+∂q3∂r⋅∂q3∂rdq3dq3
この時、以下が成り立つ。
∂qi∂r=∂qi∂(xx^+yy^+zz^)=∂qi∂xx^+∂qi∂yy^+∂qi∂zz^
したがって、次を得る。
∂qi∂r⋅∂qj∂r=∂qi∂x∂qj∂x+∂qi∂y∂qj∂y+∂qi∂z∂qj∂z
この式を簡単にgij=∂qi∂r⋅∂qj∂rで表すと(2)は次のようになる。
ds2=g11dq12+g12dq1dq2+g13dq1dq3+g21dq2dq1+g22dq22+g23dq2dq3+g31dq3dq1+g32dq3dq2+g33dq32=i,j=1∑3gijdqidqj
これで(1)と(3)を比較してみると、以下の結果が得られる。
gij={hi2,0,i=ji=j
この時、hi=gii=∂qi∂r⋅∂qi∂rをスケールファクターscale factor と呼ぶ。長さの単位に変えるために非長さの変数に掛けられる役割をする。
座標空間の座標系を曲線座標系に一般化すると、デカルト座標系はh1=h2=h3=1の曲線座標系と考えることができる。主に使用される各曲線座標系のスケールファクターは以下の通り。
証明
極座標系:
h1=1,h2=r
円筒座標系:
h1=1,h2=ρ,h3=1
球座標系:
h1=1,h2=r,h3=rsinθ