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極座標系における焦点が原点の楕円の方程式 📂数理物理学

極座標系における焦点が原点の楕円の方程式

定理

5F1E8A921.png

極座標系での楕円の方程式は以下の通りです。

$$ r=\frac{\alpha}{1+\epsilon \cos \theta}\tag{a} $$

あるいは

$$ r=\frac{b^{2}/a}{1+\frac{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{a}\cos\theta} \tag{b} $$

ここで$\alpha$は焦点距離、$\epsilon$は離心率、$a$は長半径、$b$は短半径です。

説明

以下の二つの証明は本質的には同じです。

証明

高校レベル

3.png

楕円の定義は、二つの焦点までの距離の和が一定の点の集合です。図から一番右にある点を考えると、その距離の和が$2a$であることは容易にわかります。従って楕円の定義により、 $$ \begin{align*} \overline{F^{\prime}P} +\overline{PF} =2a \end{align*} $$ 点$P$が$B$に位置するとき、 $b^{2}=a^{2}-c^{2}$という関係式を導出できます。1 従って、 $$ \overline{F^{\prime}F}=2c=2\sqrt{a^{2}-b^{2}} $$ これで三角形$\triangle F^{\prime}PH$にピタゴラスの定理を使うと、 $$ \begin{align*} &&(2a-r)^{2} &= (2 \sqrt{a^{2}- b^{2}}+r \cos \theta)^{2}+(r\sin \theta)^{2} \\ \implies && 4a^{2}-4ar+r^{2} &= 4(a^{2}-b^{2}) + 4r\sqrt{a^{2}-b^{2}}\cos\theta +r^{2}\cos^{2}\theta + r^{2}\sin^{2}\theta \\ \implies && 4a^{2} -4ar \ &= 4(a^{2} - b^{2}) +4r\sqrt{a^{2}-b^{2}}\cos \theta \\ \implies && (a+\sqrt{a^{2} - b^{2}}\cos\theta)r &= b^{2} \\ \\ \implies && r&=\frac{b^{2}}{a+\sqrt{a^{2}-b^{2}}\cos\theta} \\ && &=\frac{b^{2}/a}{1+\frac{\sqrt{a^{2}-b^{2}}}{a}\cos\theta} \end{align*} $$

大学レベル

証明の出発点は同じです。楕円の定義により、

$$ r^{\prime}+r=2a \tag{1} $$

今、下の図を見てください。

2.png

上記の三角形にピタゴラスの定理を使うと、

$$ \begin{align*} {r^{\prime}}^{2} &= (r\sin \theta)^{2} + (2\epsilon a +r\cos \theta) ^{2} \\ &= r^{2}\sin ^{2} \theta +4\epsilon^{2}a^{2}+4\epsilon ar \cos \theta+ r^{2} \cos^{2} \theta \\ &= r^{2} + 4\epsilon^{2}a^{2} + 4\epsilon a r \cos \theta \end{align*} $$

上式の左辺に$(1)$を代入すると、

$$ \begin{align*} && 4a^{2} -4ar+r^{2} &=r^{2} + 4\epsilon^{2}a^{2} + 4\epsilon a r \cos \theta \\ \implies && 4a^{2} -4ar &= 4\epsilon^{2}a^{2} + 4\epsilon a r \cos \theta \\ \implies && 4a^{2}(1-\epsilon^{2}) &= 4a(1+ \epsilon \cos \theta)r \\ \implies && r &= \frac{a(1-\epsilon ^{2})}{1+\epsilon \cos \theta } \end{align*} $$

このとき$\theta={\textstyle \frac{\pi}{2}}$なら上式は下記のようになり、図を通して下の値が焦点距離$\alpha$になることがわかります。

$$ r=a(1-\epsilon^{2})=\alpha $$

従って、楕円の方程式を極座標で表すと、

$$ r= \frac{\alpha}{1+\epsilon \cos \theta} $$


  1. 楕円の方程式を導出する際に自然に得られる式です。 ↩︎