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確率論における分離クラス 📂確率論

確率論における分離クラス

定理

測度空間 $(S, \mathcal{B}(S))$で定義された二つの確率 $P$、$Q$について、以下を満たす$\mathcal{C}$をセパレーティングクラスseparating Classと呼ぶ。 $$ P(A) = Q(A), \forall A \in \mathcal{C} \implies P(A) = Q(A), \forall A \in \mathcal{B}(S) $$

説明

セパレーティングクラスが存在するということは、二つの測度が同じかどうかを確認するために、測度空間全体を確認する必要がなく、一部分だけを見れば良いという意味になる。感覚的には、こんな便利なクラスが簡単に存在するとは思えないかもしれないが、次の定理により比較的簡単な条件で見つけ出すことができる。

定理

π-システム $\mathcal{C}$に対して$\sigma (\mathcal{C}) = \mathcal{B}(S)$が成り立ち、すべての$A \in \mathcal{C}$に対して$P(A) = Q(A)$が成り立つならば、$\mathcal{C}$はセパレーティングクラスである。

用途

π-システムという条件は、セパレーティングクラスの定義を直接満たすことと比較して、はるかに扱いやすい。このような定理があれば、セパレーティングクラスの存在を示すことが容易になり、結局のところ、二つの確率(測度)が等しいことを示すのが容易になるだろう。

証明

Dinkyinのπ-λ定理を使用するために以下の定義を導入する。

π-システムとλ-システム:

  1. 以下を満たす$\mathcal{P}$を**$\pi$-システム**と呼ぶ。 $$ A, B \in \mathcal{P} \implies A \cap B \in \mathcal{P} $$
  2. 以下の条件を満たす$\mathcal{L}$を**$\lambda$-システム**と呼ぶ。
  • (i): $\emptyset \in \mathcal{L}$
  • (ii) $A \in \mathcal{L} \implies A^{c} \in \mathcal{L}$
  • (iii) すべての$i \ne j$に対して$\displaystyle A_{i} \cap A_{j} = \emptyset$の時 $$\displaystyle \left\{ A_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}} \subset \mathcal{L} \implies \bigcup_{n \in \mathbb{N}} A_{n} \in \mathcal{L}$$

$\mathcal{L} := \left\{ A \in \mathcal{B}(S) : P(A) = Q(A) \right\}$と定義すると、

  • (i): $P( \emptyset ) = Q (\emptyset ) = 0$だから$\emptyset \in \mathcal{L}$だ。
  • (ii): $P(A^{c}) = 1 - P(A) = 1 - Q(A) = Q(A^{c})$だから$A \in \mathcal{L} \implies A^{c} \in \mathcal{L}$だ。
  • (iii): 確率$P$、$Q$は測度なので、$\displaystyle \left\{ A_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}} \subset \mathcal{L} \implies \bigcup_{n \in \mathbb{N}} A_{n} \in \mathcal{L}$を満たす。したがって、$\mathcal{L}$はλ-システムである。

仮定では、すべての$A \in \mathcal{C}$に対して$P(A) = Q(A)$が成り立っていたので、$\mathcal{C} \subset \mathcal{L}$である。

Dinkyinのπ-λ定理: π-システム$\mathcal{P}$がλ-システム$\mathcal{L}$の部分集合であれば、$\mathcal{P} \subset \sigma ( \mathcal{P} ) \subset \mathcal{L}$を満たすσ-フィールド$\sigma ( \mathcal{P} )$が存在する。

仮定で$\mathcal{C}$はπ-システムであったので、Dinkyinのπ-λ定理により、$\mathcal{C} \subset \sigma ( \mathcal{C}) \subset \mathcal{L}$を満たす$\sigma ( \mathcal{C}) = \mathcal{B}(S)$が存在する。もちろん、$\mathcal{L}$の定義から$\mathcal{L} \subset \mathcal{B}(S)$であり、$\mathcal{L} = \mathcal{B}(S)$であり、$P(A) = Q(A)$を満たす$A \in \mathcal{C}$も$\mathcal{B}(S)$に属することを意味する。つまり、すべての$A \in \mathcal{B}(S)$に対して$P(A) = Q(A)$が成り立ち、命題形に言い換えると、次のようになる。 $$ P(A) = Q(A), \forall A \in \mathcal{C} \implies P(A) = Q(A), \forall A \in \mathcal{B}(S) $$