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ラプラス方程式は直交変換に対して不変であることを証明する 📂偏微分方程式

ラプラス方程式は直交変換に対して不変であることを証明する

定理1

$u$がラプラス方程式を満たすとしよう。そして、$v(x)$を以下のように定義しよう。

$$ v(x) :=u(Rx) $$

その時、$R$は回転変換だ。だから、$v(x)$もラプラス方程式を満たす。

$$ \Delta v=0 $$

説明

実際、上の内容は全ての直交変換に対して成り立つ。したがって、ラプラス方程式が回転変換に不変である事実は、ラプラス方程式が直交変換に不変である事実の特別な場合である。

証明

$u$がラプラス方程式を満たすとしよう。$O$を任意の直交変換としよう。すると、次の式を示すことが証明の目的である。

$$ v(x)=u(Ox)\ \implies \Delta v=0 $$

$O$が具体的に以下のようであるとしよう。

$$ O=[o_{ij}]=\begin{pmatrix} o_{11} & o_{12} & \cdots &o_{1n} \\ o_{21} & o_{22} & \cdots & o_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ o_{n1} & o_{n2} & \cdots & o_{nn} \end{pmatrix} $$

すると、次が成り立つ。

$$ Ox=\begin{pmatrix} o_{11} & o_{12} & \cdots &o_{1n} \\ o_{21} & o_{22} & \cdots & o_{2n} \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ o_{n1} & o_{n2} & \cdots & o_{nn} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} x_{1} \\ x_{2} \\ \vdots \\ x_{n} \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} o_{11}x_{1} + o_{12}x_{2} + \cdots +o_{1n}x_{n} \\ o_{21}x_{1}+ o_{22}x_{2}+ \cdots + o_{2n}x_{n} \\ \vdots \\ o_{n1}x_{1}+ o_{n2}x_{2}+ \cdots +o_{nn}x_{n} \end{pmatrix} $$

この時、$Ox=y$として以下を得る。

$$ Ox=\begin{pmatrix} o_{11}x_{1} + o_{12}x_{2} + \cdots +o_{1n}x_{n} \\ o_{21}x_{1}+ o_{22}x_{2}+ \cdots + o_{2n}x_{n} \\ \vdots \\ o_{n1}x_{1}+ o_{n2}x_{2}+ \cdots +o_{nn}x_{n} \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} y_{1} \\ y_{2} \\ \vdots \\ y_{n} \end{pmatrix}=y $$

これは、次の式と同じだ。

$$ v(x)=u(y) $$

$v$の全微分を求めると、次のようになる。

$$ \begin{align*} dv &=\dfrac{\partial u}{\partial y_{1}}dy_{1}+\dfrac{\partial u}{\partial y_{2}}dy_{2}+\cdots + \dfrac{\partial u}{\partial y_{n}}dy_{n} \\ &= u_{y_{1}}dy_{1} + u_{y_{2}}dy_{2} + \cdots +u_{y_{n}}dy_{n} \end{align*} $$

したがって、$\dfrac{\partial v}{\partial x_{i}}=v_{x_{i}}$は以下のようになる。

$$ v_{x_{i}} = u_{y_{1}}o_{1i}+u_{y_{2}}o_{2i}+\cdots + u_{y_{n}}o_{ni}=\sum \limits_{j=1}^{n} u_{y_{j}}o_{ji} $$

同じ方法で、次を得る。

$$ v_{x_{i}x_{i}}=\sum \limits_{k=1}^{n} \sum \limits_{j=1}^{n} u_{y_{j}y_{k}}o_{ji}o_{ki} $$

この時、$O$は直交行列であるから、$OO^T=I$であり、したがって以下の式が成り立つ。

$$ \sum \limits_{i=1}^{n} o_{ji}o_{ki}=\delta_{jk} $$

それゆえ、次の結果を得る。

$$ \begin{align*} \Delta v=\sum_{i=1}^{n} v_{x_{i}x_{i}} &= \sum \limits_{i=1}^{n}\sum \limits_{k=1}^{n} \sum \limits_{j=1}^{n} u_{y_{j}y_{k}}o_{ji}o_{ki} \\ &= \sum \limits_{k=1}^{n} \sum \limits_{j=1}^{n} u_{y_{j}y_{k}}\delta_{jk} \\ &= \sum \limits_{j=1}^{n} u_{y_{j}y_{j}} \\ &= \Delta u=0 \end{align*} $$


  1. Lawrence C. Evans, Partial Differential Equations (第2版, 2010), p85(問題2) ↩︎