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アンペールの法則とその応用 📂電磁気学

アンペールの法則とその応用

数式

体積電流密度 $\mathbf{J}$によって生じる磁場$\mathbf{B}$が回転する方向は、$\mathbf{J}$の方向を軸としたとき右手の法則を満たす方向である。

$$ \nabla \times \mathbf{B}=\mu_{0} \mathbf{J} $$

説明1

アンペールの法則は、導体に流れる電流と周囲の磁場との間に特別な関係があることを示す法則だ。導体に電流が流れると、その周囲に磁場が生じる。 このとき磁場の方向は「右手の法則」に従う。右手の親指を電流が流れる方向に伸ばし、手を握ると、指が巻く方向がまさに磁場の方向である。

アンペールの法則は静電気学のガウスの法則に対応している。等電位面がある場合、ガウスの法則で積分が簡単に解け、電場が容易に求められた。同様に、等磁場ループがあるならば、アンペールの法則で積分を簡単に解いて磁場を容易に求めることができる。磁場の回転はまさに微分形のアンペールの法則Ampere’s lawである。両辺を体積電流密度が流れる面について積分すると

$$ \int (\nabla \times \mathbf{B} ) \cdot d\mathbf{a} = \mu_{0} \int \mathbf{J} \cdot d\mathbf{a} $$

左辺をストークスの定理で置き換えると、積分形のアンペールの法則を得る。

$$ \oint \mathbf{B} \cdot d \mathbf{l} = \mu_{0} \int \mathbf{J} \cdot d \mathbf{a} $$

体積電流密度は単位面積を通過する電流の量を意味するので、右辺の積分は該当する面を通過する総電流である。等磁場ループがある場合、左辺で$\mathbf{B}$は積分経路に関係なく一定なので、積分は単純に境界線に対する積分に変わる。

$$ |\mathbf{B}| \oint dl = \mu_{0} I_{in} $$

これがまさにアンペールの法則の応用である。このとき当然ながら電流とループの符号(方向)は右手の法則で決定する。$+$電流が流れている方向が親指の方向と同じとき、右手を握る方向がループが回転する方向である。重要な事実はアンペールの法則は定常電流 $I$に対してのみ成立することである。

定常電流 $I$が流れる長い直線導体から距離が$s$の場所の磁場を求めよ

31.JPG

図のようにアンペールループを取ると、ループのどこでも磁場の大きさは一定である。アンペールの法則を使うと

$$ \oint \mathbf{B} \cdot d \mathbf{l} = B \oint dl = B2\pi s=\mu_{0} I_{in}=\mu_{0} I $$

したがって

$$ B=\dfrac{\mu_{0} I}{2 \pi s } $$

電流が流れる方向を$\mathbf{z}$方向として、円筒座標系を使って磁場の方向まで表すと

$$ \mathbf{B} =\dfrac{\mu_{0} I}{2 \pi s } \hat{\boldsymbol{\phi}} $$


  1. David J. Griffiths, 基礎電磁気学(Introduction to Electrodynamics, 金進丞 訳) (第4版, 2014), p252 ↩︎