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ペル方程式 📂整数論

ペル方程式

ビルドアップ

$a_{n} : = n^2$を正方形の数square numberと言う。

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$\displaystyle b_{m} : = {{ m ( m + 1 ) } \over {2}}$を三角数triangular numberと言う。

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正方形の数であり三角数でもある数があるか考えてみると、すぐに$a_{1} =b_{1} = 1$と$\displaystyle a_{6} = 6 ^2 = 36 = {{ 8 \cdot 9 } \over {2}} = b_{8}$が思い浮かぶ。さて、一般的に正方形の数でありながらも三角数である場合を考えてみよう。 $$ \begin{align*} & n^2 = {{ m ( m + 1 ) } \over {2}} \\ & \implies 8 n^2 = 4 m ( m + 1 ) \\ & \implies 8 n^2 = ( 2 m + 1 )^2 - 1 \end{align*} $$ $x := 2m + 1$と$y := 2n$としておくと、 $$ 2 y^2 = x^2 - 1 $$ このように整理してみると「正方形の数でありながらも三角数である数は何か」という問いは$x^2 - 2 y^2 = 1$の自然数解を見つける問いに変わる。

定義 1

このような方程式を一般化したものがペルの方程式であり、以下の定理が知られている。

定理

  • [1]: $D \in \mathbb{N}$が完全平方数でない場合、$x^2 - D y^2 = 1$は常に解を持つ。
  • [2]: $( x_{1} , y_{1} )$が$x_{1}$の値が最小の解である場合、すべての解$(x_{k} , y_{k})$は$x_{k} + y_{k} \sqrt{D} = \left( x_{1} + y_{1} \sqrt{D} \right)^{k}$のように求められる。ただし、$k , x_{k} , y_{k} \in \mathbb{N}$である。

説明

正方形の数と三角数から直接続く例として、$x^2 - 2 y^2 = 1$を満たす自然数解は$3^2 - 2 \cdot 2^2 = 1$であり、したがって$(3,2)$が存在する。$x = 3 = 2m + 1$であり$y = 2 = 2n$と定義されているので、これは最も単純なケース$n= m =1$にぴったり合う。これで$k=2$の場合を考えてみると、 $$ x_{2} + y_{2} \sqrt{2} = \left( 3 + 2 \sqrt{2} \right)^2 = 17 + 12 \sqrt{2} $$ 実際に$x = 17 = 2m + 1 $と$ y = 12 = 2n$として定義されたので、これらの値は私たちが知っている$m=8$と$n=6$になる。

ペルの方程式で最も目立つのは、明らかに数論の一部でありながら、計算に無理数の$\sqrt{2}$を使用したことである。この拡張は複素数に対しても可能である。また、方程式の形が双曲線の方程式に似ているので、これに関連する何らかの議論があったことが推測できる。


  1. Silverman. (2012). A Friendly Introduction to Number Theory (4th Edition): p245. ↩︎