マップシステムのオービット
📂動力学マップシステムのオービット
定義
マップ f:X→X と p∈X に対して fk(p)=p を満たす最小の自然数を k∈N としよう。
- マップ f:X→X と点 x∈X に対して、f の下での集合 {x,f(x),f2,⋯} を x の軌道orbitという。この時、x を軌道の初期値initial valueという。
- 初期値 p を持つ軌道 {p,f(p),f2(p),⋯} を周期-k 軌道といい、p を周期-k ポイントという。
- p が fk のシンクならば、p の周期-k 軌道を**(周期的)シンクといい、fk のソースならば、p の周期-k 軌道を(周期的)ソース**という。
- あるN∈N と全ての n≥N に対して fn+k(p)=fn(p) を満たすなら、p はイベンチュアリー周期eventually periodicという。
- 軌道 {p,f(p),f2(p),⋯,fn(p),⋯} に対して n→∞lim∣fn(p)−xn∣=0 を満たす周期軌道 {x1,⋯,xn} が存在するなら、{p,f(p),f2(p),⋯,fn(p),⋯} はアシンプトティカリー周期asymtotically periodicという。
説明
周期-k 軌道が存在するということは本質的に fk が固定点を持つことと同じである。したがって、周期を持つことや固定点を持つことは、マップを何回適用するかの違いに過ぎない。したがって、概念的な勉強が終わった後には、全ての定理や上位概念が固定点を基準にその表現を合わせることになる。「周期」とは自然数に対して一般化された「固定点」と考えよう。
アシンプトティカリー周期であり、正確にその{x1,⋯,xn} と同じになるならば、それをイベンチュアリー周期とも言える。また、周期シンク軌道に収束する軌道はアシンプトティカリー周期である。
一方 X=R の場合、以下のような簡単な定理を考えることができる。
定理
f の周期-k 軌道を {p1,p2,⋯,pk} としよう。
∣f′(p1)⋯f′(pk)∣<1 ならば、{p1,p2,⋯,pk} はシンクであり、∣f′(p1)⋯f′(pk)∣>1 であれば、{p1,p2,⋯,pk} はソースである。
証明
チェーンルールにより、
(fk)′(p1)====(f(fk−1))′(p1)f′((fk−1))(fk−1)′(p1)f′((fk−1))f′((fk−2))⋯f′(p1)f′(pk)f′(pk−1)⋯f′(p1)
スムースな f:R→R に対して、ある p∈R が固定点だとしよう。
[1] ∣f′(p)∣<1 ならば、p はシンクである。
[2] ∣f′(p)∣>1 ならば、p はソースである。
∣(fk)′(p1)∣=∣f′(pk)f′(pk−1)⋯f′(p1)∣ に1次元マップのシンクとソースの判定法を適用すれば、求める結果を得る。
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