三大作図不能問題の証明
定理 1
次の三つの作図は不可能である。
- [1] Squaring the circle: 与えられた四角形と同じ面積の円を作図せよ。
- [2] Doubling the cube: 与えられた立方体の体積が二倍になる立方体を作図せよ。
- [3] Trisecting the angle: 与えられた角を三等分せよ。
反証
長らく幾何学の問題であったが代数学によって解けるというのは実に驚くべきことである。基本的に以下の補助定理の対偶命題を用いる。
作図可能数の性質: $1$を含めて有限回の四則演算と平方根を取ることによって得られる数を作図可能constructibleであるという。
- (1): 作図可能数は代数的数である。
- (2): $\gamma \not\in \mathbb{Q}$が作図可能ならば$i=2, \cdots , n$に対して $$ \left[ \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} , a_{i} \right) : \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} \right) \right] = 2 \\ \mathbb{Q} ( \gamma) = \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{n} \right) $$ を満たす有限数列$\left\{ a_{i} \right\}_{i=1}^{n}$が存在して、ある$r \in \mathbb{N}$に対して $$ \left[ \mathbb{Q} \left( \gamma \right) : \mathbb{Q} \right] = 2^{r} $$
[1]
面積が$\pi$の円が反例になることを示せば十分である。
代数的数と超越数: 体$F$の拡大体を$E$としよう。定数関数でない$f(x) \in F [ x ]$に対して$f( \alpha ) = 0$を満たす$\alpha \in E$を$F$上で代数的algebraicであるといい、代数的でなければ超越的transcendentalであるという。$F = \mathbb{Q}$、$E = \mathbb{C}$とするとき$\alpha \in \mathbb{C}$が代数的ならば代数的数、超越的ならば超越数であるという。
正方形の面積が$\pi$になるようにするには一辺の長さが$\sqrt{\pi}$でなければならないが、しかし$\pi$は$\mathbb{Q}$上で超越数であるため、補助定理(1)の対偶命題によって作図不能である。したがってその平方根である$\sqrt{\pi}$もまた作図不能である。
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[2]
体積が$1$の立方体が反例になることを示せば十分である。
立方体の体積が$2$になるようにするには一辺の長さが$\sqrt[3]{2}$でなければならないが、 $$ 2^{r} = \left[ \mathbb{Q} \left( \sqrt[3]{2} \right) : \mathbb{Q} \right] = 3 $$ を満たす$r \in \mathbb{N}$は存在しないため、補助定理(2)の対偶命題によって$\sqrt[3]{2}$は作図不能である。
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[3]
大きさが$60^{\circ}$の角が反例になることを示せば十分である。
三角関数の三倍角公式によって $$ \cos 60^{\circ} = 4 \cos^{3} 20^{\circ} - 3 \cos 20^{\circ} $$ である。$\displaystyle \cos 60^{\circ} = {{1} \over {2}}$であるため、$\displaystyle \alpha := \cos 20^{\circ}$と置くと $$ 4 \alpha^3 - 3 \alpha = {{1} \over {2}} \implies 8 \alpha^3 - 6 \alpha - 1 = 0 $$ すなわち$\alpha$は多項式関数$( 8 x^3 - 6 x - 1 ) \in \mathbb{Q} [ x ]$の零点である。この整数係数多項式関数の因数になりうる候補は $$ (8x \pm 1), (4x \pm 1), (2x \pm 1), (x \pm 1) $$ だけである。しかし実際に計算してみると $$ \mp {{1} \over {8}} , \mp {{1} \over {4}} , \mp {{1} \over {2}} , \mp 1 $$ のうち零点になるものはない。$( 8 x^3 - 6 x - 1 )$が$1$次項で因数分解されないということは$2$次項を因数として持たないということでもある。整理すると $$ 2^{r} = \left[ \mathbb{Q} \left( \alpha \right) : \mathbb{Q} \right] = 3 $$ であり、$2^r = 3$を満たす$r \in \mathbb{N}$は存在しない。補助定理(2)の対偶命題によって$\cos 20^{\circ}$は作図不能となり、大きさが$60^{\circ}$として与えられた角を三等分することはできない。
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豆知識
特に「Squre the circle」は英米圏で「不可能なことをする」あるいは「筋の通ったことを言え」という意味で使われた。韓国語で言えば「小豆で味噌を作れ」のような感じで考えればよい。
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p297. ↩︎
