作図可能数
定義
$1$を含め、有限回の四則演算と平方根を取ることによって得られる数を作図可能constructibleであるという。
説明
作図可能というのは元々古代ギリシャの論証幾何で論じられていた概念だったが、現代代数学を持ち込めば、コンパスで円を描き定規で線を引く過程は特に必要なくなる。これらの演算がどのように作図の代わりになるのか見てみよう。
加法と減法
加法と減法は、線分の端に、加えたり引いたりしたい数を半径とする円を描くことで得る。
乗法と除法
乗法と除法は、平行線と三角形の相似を利用して得る。
平方根

平方根は、直角三角形の相似を利用して得る。
有理数
$1$を有限回加えることで$\mathbb{N}$を得て、$1-1 = 0$によって$0$を得て、$0$から$1$を有限回引くことで$\mathbb{Z}$を得て、整数同士を割ることで$\mathbb{Q}$を得る。したがって、作図可能な数の集合は少なくとも有理数体よりは大きく、平方根を許すことでもう少し大きな体を得ることができる。結論として、すべての有理数は作図可能である。
代数的数と超越数
無理数であってもいくらでも作図可能でありうる。例えば、無理数$\sqrt{ 1+ \sqrt{3} }$は$3$に平方根を取って$1$を加えた後、再び平方根を取ることで得られるので作図可能である。しかし、$\pi$のような超越数は作図可能ではない。
定義から、作図可能数が代数的数になることは容易に推測できる。例えば、$\sqrt{2}$は$2$に平方根を取ることで得られると同時に、$(x^{2} - 2 ) \in \mathbb{Q} [ x ]$の零点としての代数的数でもある。逆に計算してみると、$a = \sqrt{ 1+ \sqrt{3} }$のような数は $$ \begin{align*} & a^2 = 1 + \sqrt{3} \\ &=a^2 - 1 = \sqrt{3} \\ =& \left( a^2 - 1 \right)^2 = 3 \\ =& a^4 - 2 a^2 - 2 = 0 \end{align*} $$ であるから、$\left( a^4 - 2 a^2 - 2 \right) \in \mathbb{Q} [ x ]$の零点としての代数的数でもある。
定理
- [2]: $\gamma \not\in \mathbb{Q}$が作図可能であれば、$i=2, \cdots , n$に対して $$ \left[ \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} , a_{i} \right) : \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} \right) \right] = 2 \\ \mathbb{Q} ( \gamma) = \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{n} \right) $$ を満たす有限数列$\left\{ a_{i} \right\}_{i=1}^{n}$が存在し、ある$r \in \mathbb{N}$に対して $$ \left[ \mathbb{Q} \left( \gamma \right) : \mathbb{Q} \right] = 2^{r} $$
証明
1
作図可能の定義により自明である。
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[2]
$$ \left[ \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} , a_{i} \right) : \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} \right) \right] = 2 $$ であるということは、ある$q \in \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} \right)$に対して$a_{i} = \sqrt{q}$であるという意味である。このような$a_{i}$を添加するということは、既存の$\mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i-1} \right)$に存在するある元$q_{1} a_{1} + \cdots + q_{i-1} a_{i-1}$に$a_{i}$を加えたり引いたりした後に有理数倍ができるという意味であり、$\mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{i} \right)$は、有限回の四則演算と平方根で得られた作図可能数たちに有限回の四則演算を施すことで得られた数たちの集合になる。
$\gamma$が作図可能であるということは、このような演算の過程が存在するという意味なので、$\mathbb{Q} ( \gamma) = \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{n} \right)$を満たす有限な数$n \in \mathbb{N}$もまた存在する。
有限拡大体の性質: $E$が$F$の有限拡大体、$K$が$E$の有限拡大体であるとする。
- [2]: $$[E : F] = 1 \iff E = F$$
- [3]: $$[K : F] = [K : E ] [E : F]$$
すると、有限拡大体の性質から $$ \begin{align*} 2^n =& \left[ \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{n} \right) : \mathbb{Q} \right] \\ =& \left[ \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{n} \right) : \mathbb{Q} ( \gamma ) \right] \left[ \mathbb{Q} ( \gamma ) : \mathbb{Q} \right] \end{align*} $$ 一方で$\mathbb{Q} ( \gamma) = \mathbb{Q} \left( a_{1} , \cdots , a_{n} \right)$であるから、次が成り立つ。 $$ 2^n = \left[ \mathbb{Q} ( \gamma ) : \mathbb{Q} \right] $$
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