コーンと凸コーンの定義
📂線形代数コーンと凸コーンの定義
定義
コーン
ベクトル空間 V の 部分集合 C⊂V が全ての スカラー a>0 と x∈C に対して次を満たす時、C を コーンconeと言う。
ax∈C
平らなコーンと突出したコーン
コーン V があるゼロベクトルではない v∈V に対して −v∈V を満たす場合、平らなコーンflat coneと言い、そうでなければ 突出したコーンsalient coneと言う。
凸コーン
コーン C⊂V が全てのスカラー a,b>0 と x,y∈C に対して次を満たす時、C を 凸コーンconvex coneと言う。
ax+by∈C
尖ったコーンと鈍いコーン
凸コーンが ゼロベクトル 0 を含む場合、尖ったコーンpointed coneと言い、そうでなければ 鈍いコーンblunt coneと言う。
説明
定義によると、コーンの全ての要素はゼロベクトル 0 を始点として伸ばしたり縮めたりできる全てのベクトルの集合であり、そのベクトルの有意な種類は有限であろうと無限であろうと抽象的に全く問題ない。例として ユークリッド空間を考えると、任意の半直線は R1 でコーンであり、第一象限は R2 でコーンであり、実際には全て凸コーンでもある。
コーンが平らであるとは、簡単に言えば少なくとも 1 以上の次元を持つ 部分ベクトル空間を持つかどうかということと同じである。例えば R2 で x 軸に平行な直線は x 方向と −x 方向の2つのベクトルを両方含むので平らなコーンであり、これは平面内で平らに伸びた直線という点で直感と一致する名前付けであることがわかる。コーンが突出しているとは、我々が一般的に幾何学的に考えるコーンのように突出した形状であることを意味する。
凸コーン C が突出していることは C∩C={0} と等価である。
定理
凸コーンの部分順序
尖っていて突出した凸コーン C では、次のように 部分順序 ≥⊂C2 を定義できる。
x≥y⟺x−y∈C∀x,y∈C
証明
関係 ≥ が推移的で、反射的で、反対称的であることを示せば良い。
(推移)
⟺⟹⟺x≥y∧y≥zx−y∈C∧y−z∈Cx−z=(x−y)+(y−z)∈Cx≥z
(反射) C が尖っているとは、ゼロベクトルが C に含まれているということである。
x≥x⟺x−x=0∈C
(反対称) C が突出しているとは、C があるベクトル z に対してその加算の逆元 −z を含まないということである。
⟺x≥y∧y≥xx−y∈C∧y−x∈C
ゼロベクトルでない (x−y) に対して、(y−x) がその逆元であってはならないので、x=y でなければならない。
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関連項目
- 凸包
- 有限コーン: Rn で任意の α>0 ではない有限のバウンドが与えられた図形である。