準周期的軌道
定義
有界かつ漸近周期的でない軌道が、初期条件に敏感sensitive dependence on initial conditionでない場合、その軌道を準周期的quasiperiodicであると言う1。または、常微分方程式で表現される力学系のフロー が時間 に対して準周期関数であるとき、 の任意の点を通る軌道を準周期軌道と呼ぶこともできる2。
説明
準周期的な軌道は、周期ではないが、カオスでもない軌道を説明するために必要な概念と見ることができる。
モジュロ
区間 上で写像 が上記のようにモジュロによって定義されているとする。もし が無理数であれば、このシステムのすべての軌道は初期条件に依存せず非周期的であるが、そのリャプノフ指数は によって簡単に計算される。実際、これらの軌道は初期条件に敏感でなく、すべて準周期的である。
トーラス 3
トーラス 上で、微分方程式が上記のように定義されているとする。このシステムの状態は一定の速度 と で1点が移動し続けるが、もし比 が有理数なら必ず周期的になり、無理数である場合、絶えずトーラスを巡り閉じることはない。比が無理数であるとき、周期性がないが初期条件に敏感ではないため、準周期的である。
Yorke. (1996). CHAOS: An Introduction to Dynamical Systems: p112. ↩︎
Wiggins. (2003). Introduction to Applied Nonlinear Dynamical Systems and Chaos Second Edition(2nd Edition): p804. ↩︎
Strogatz. (2015). Nonlinear Dynamics And Chaos: With Applications To Physics, Biology, Chemistry, And Engineering(2nd Edition): p275~276. ↩︎