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ラプラス変換の定義と存在証明 📂微分方程式

ラプラス変換の定義と存在証明

証明

仮定2. により、$t \ge M$について$|f(t)| \le Ke^{at}$が成り立つ。両辺に$e^{-st}$を掛けると

$$ |e^{-st}f(t)| \le Ke^{-(s-a)t} $$

補助定理1

以下の条件を仮定する。

  • 関数$f$が$t \ge \tau$の時に部分的に連続である。
  • ある正の数$M$に対して、$t \ge M$が$|f(t)| \le g(t)$を満たす。
  • $\displaystyle \int _{M} ^\infty g(t) dt$が収束する。

すると、$\displaystyle \int _\tau ^\infty f(t)dt$も収束する。

補助定理によれば、$\displaystyle \int _{M} ^\infty Ke^{-(s-a)t}dt$が収束する時、$\displaystyle \int _{0} ^\infty e^{-st} f(t) dt$も収束する。証明で使う条件を補助定理に代入してみると、

$$ g(t)=Ke^{-(s-a)t},\quad f(t)=e^{-st}f(t),\quad \tau=0 $$

今、$\displaystyle \int _{M} ^\infty Ke^{-(s-a)t}dt$が収束するかだけを確認すれば、証明は完了である。

$$ \begin{align*} \int _{M} ^\infty Ke^{-(s-a)t}dt &= K\lim _{B \to \infty} \int _{M} ^B e^{-(s-a)t}dt \\ &= K\lim _{B \to \infty} \frac{1}{a-s}\left[ e^{-(s-a)t} \right]_{M}^B \\ &= K \lim _{B \to \infty} \frac{1}{a-s} \left( e^{-(s-a)B }- e^{-(s-a)M} \right) \end{align*} $$

ここで、$s-a>0$ならば、$\displaystyle \lim _{B \to \infty} e^{-(s-a)B }=0$となり、広義積分$\displaystyle \int _{M} ^\infty Ke^{-(s-a)t}dt$が収束する。従って、補助定理により、$\displaystyle \int _{0} ^\infty e^{-st} f(t) dt$も収束する。


  1. William E. Boyce , Boyceの初等微分方程式及び境界値問題 (第11版, 2017), p243 ↩︎