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抽象代数学における根基と冪零根基 📂抽象代数

抽象代数学における根基と冪零根基

定義1

$N$が$R$のイデアルであるとする。

  1. $\text{rad} N := \left\{ a \in R \ | \ a^n \in N \right\}$ を**$N$の根基**radicalという。
  2. $a^{n} = 0$を満たす$n \in \mathbb{N}$が存在するとき、$a$は冪零nilpotentであるという。
  3. 冪零元の集合 $\text{nil} R := \left\{ a \in R \ | \ a^n = 0 \right\}$ を**$R$の冪零根基**nilradicalという。

説明

ごく簡単な例として、整数環 $\mathbb{Z}$において$4$の倍数の集合$4 \mathbb{Z}$は$\mathbb{Z}$のイデアルであり、偶数の集合$2 \mathbb{Z}$は$4 \mathbb{Z}$の根基となる。

$N$の根基を$\sqrt{N}$、$R$の冪零根基を$\sqrt{0}$と表す。$\sqrt{N}$の元を何回か累乗すれば$N$の元を作れるという点で、十分に理にかなった表記だといえるだろう。

次の二つの定理は、イデアルが必要なときに具体的に$\sqrt{N}$と$\sqrt{0}$を取れるという点で有用である。根基と冪零根基はかなり強い条件を満たしているので、扱いやすくもある。

定理

単位元を持つ可換環$R$に対して、$N$が$R$のイデアルであるとする。

証明

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$N$はイデアルであるから、すべての$r \in R$と$a \in N$に対して $$ ra \in N $$ であり、$R$は環であって乗法について閉じているから$r^{n} \in R$である。ここでもう一度、$N$はイデアルであるから$r^{n} \in R$に対しても$r^{n} N \subset N$でなければならず、したがって$a^{n} \in N$に対しても $$ r^{n} a^{n} \in N $$ でなければならない。仮定より$R$は可換環であるから$r^{n} a^{n} = (ra)^{n}$であり、 $$ (ra)^{n} \in N \implies ra \in \sqrt{N} \implies a \in r \sqrt{N} $$ である。したがって $$ r \sqrt{N} = \sqrt{N} r \subseteq \sqrt{N} $$ である。あとは$( \sqrt{N} , + )$が$R$の部分群となることを示せばよいが、単位元と逆元が存在するかだけを確認しよう。

  • (ii): $0^{n} \in N$であるから、$0$は$\sqrt{n}$の単位元として存在する。
  • (iii): すべての$a$に対して$(-a)^{n} = (-1)^{n} a^{n} \in N$であるから、$-a \in \sqrt{N}$が$a$の逆元として存在する。

2

$R$は可換環であるから、$r \in R$、$a \in \sqrt{0}$に対して $$ (ra)^{n} = r^{n} a^{n} = 0 $$ であり、$ra \in r \sqrt{0}$であるから $$ r \sqrt{0} = \sqrt{0} r \subset \sqrt{0} $$ である。あとは$( \sqrt{0} , + )$が$R$の部分群となることを示せばよいが、単位元と逆元が存在するかを確認しよう。

  • (ii): $0^{1} = 0$であるから、$0$は$\sqrt{0}$の単位元として存在する。
  • (iii): すべての$a$に対して$(-a)^{n} = (-1)^{n} a^{n} = 0$であるから、$-a \in \sqrt{0}$が$a$の逆元として存在する。


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p245. ↩︎