分母にビッグオー記法がある場合の分子への移動方法
📂レンマ分母にビッグオー記法がある場合の分子への移動方法
定理
a=0 と p>0、n∈N について、以下が成立する。
pa+O(hn)1=pa1+O(hn)
説明
複雑に見える分母をきれいな形に変えてくれるレンマとして便利に使える。
定数項 a がなければ、レンマなしでも pO(hn)1=O(h−pn) にきれいに上がるが、普通あまり役に立たない。
証明
pa+O(hn)1=pa+bhn1=(a+bhn)−p1
において q:=p1 として関数 f(h):=(a+bhn)−q を定義しよう。
f に対してマクローリン展開を行うと、
f(h)=f(0)+hf′(0)+2h2f′′(0)+6h3f(3)(0)+⋯
f(h)=(a+bhn)−q であるため、
f(0)=(a+b⋅0n)−q=pa1
一方、
f′(h)=−qbnhn−1(a+bhn)−q−1
であるから f′(0)=0 であり、
f′′(h)=−qbn(n−1)hn−2(a+bhn)−q−1+bnhn−1(−q−1)bnhn−1(a+bhn)−q−2
であるから f′′(0)=0 である。このようにして、k 次の導関数 f(k) を求めると、k=2,3,⋯,(n−1) に対して f(k)(0)=0 であることがわかる。ある g(h) に対して
f(n)(h)=−qbn!hn−n(a+bhn)−q−1+hg(h)
であるから、
f(n)(h)=−qbn!q+1a1
である。したがって、
f(h)=pa1+0+⋯+0−n!hnqbn!q+1a1+(n+1)!h(n+1)f(n+1)(0)+⋯
である。0 以降に現れるすべての項を hn にまとめると、次のことが得られる。
pa+O(hn)1=pa1+O(hn)
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