多項式関数の零点
定義1
$$ f(x) : = \sum_{k=0}^{n} a_{k} x^{k} = a_{0} + a_{1} x + \cdots + a_{n} x^{n} $$ 多項式関数$f \in F [x]$と体$F \le E$に対して、$\alpha \in E$における評価関数evaluation$\phi_{\alpha} : F [ x ] \to E$を次のように定義しよう。 $$ \phi_{\alpha} ( f(x) ) : = a_{0} + a_{1} \alpha + \cdots + a_{n} \alpha^n = f (\alpha) $$ $f( \alpha ) = 0$を満たす$\alpha \in E$を$f(x)$の零点zeroという。
説明
評価関数
ファクトとして、$\phi_{\alpha}$は準同型写像になる。
定義があまりにも漠然と感じられるかもしれないが、簡単な例として$\phi_{i} : \mathbb{R} [ x ] \to \mathbb{C}$を考えてみよう。たとえば$\phi_{i} ( x^2 - 3 x + 2)$といえば、単純に $$ f(x) = x^2 - 3 x + 2 $$ に$i$を代入した $$ i^2 - 3 i + 2= 1 -i2 \in \mathbb{C} $$ になるということだ。もちろんここで$\mathbb{R} \le \mathbb{C}$であることは問題にならない。
零点のモチーフ
核を考えてみると、$\ker ( \phi_{\alpha} )$は$f(\alpha) = 0$を満たす関数の集合になるだろう。上の例に続ければ、$\ker ( \phi_{i} ) \subset \mathbb{R} [ x ]$の元は$(x-i)$を因数に持つ多項式関数である。
このように$f( \alpha ) = 0$を満たすとき$\alpha$を$f(x)$の零点と呼ぶことは、疑いの余地なく自然である。同値なものとして、$\phi_{\alpha} ( f(x) ) = 0$ならば$\alpha$を$f(x)$の零点と呼ぶのだった。
これまでずっと行ってきた代入や根の概念を、わざわざ関数まで持ち出して説明する理由は、まさに「方程式の解」という概念を厳密に定義するためである。 $$ f(x) = g(x) $$ たとえば上のような方程式を考えてみよう。このような方程式を集めた集合を考えられない理由はないが、関係を集めるよりは両辺をそれぞれ別に考えて$f(x)$と$g(x)$自体を扱う方がはるかに簡単明瞭である。もし方程式の集合$X$が上のような方程式を集めた集合であれば $$ \left( f(x) = g(x) \right) \in X $$ のように表せなければならないはずだが、どうせ移項してしまえば $$ f(x) = g(x) \iff f(x) - g(x) = 0 $$ なので、わざわざ右辺を汚く自由なままにしておく理由がないからである。集合$X$が方程式ではなく関数を持つ構造に従うことになれば、右辺を$0$とした方程式を集め、それらがいつ成立するかに関心を持つのと変わらない。
このような思考の拡張にしたがって、「実数を係数に持つ多項式関数であっても虚根が出うる」といったファクトが抽象化され一般化されるだろう。
Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p201, 204. ↩︎
