ベクトル三重積、BAC-CAB公式
📂数理物理学ベクトル三重積、BAC-CAB公式
説明
上の式の左辺をベクトル三重積と呼ぶ。右辺の結果を簡単に**BAC-CAB(バックキャップ)**という。ベクトル三重積は、結果がベクトルになる3つのベクトルの掛け算の操作である。結果がベクトルになるためには、式には外積が2回入る。2つのベクトルの外積はやはりベクトルなので、再び別のベクトルと外積することができる。
結果がスカラーになる場合はスカラー三重積と呼ぶ。その形は下のようである。
A⋅(B×C)
ただし、内積の操作結果がスカラーであるため、内積が2回入っていたり、内積と外積の操作順序が逆の場合は間違った式になる。
A⋅(B⋅C)→틀린 식
A×(B⋅C)→틀린 식
また、外積は結合法則が成り立たないため、以下のように等号が成り立たない。
A×(B×C)=(A×B)×C
証明
以下の証明は3次元直交座標系に関するものであり、証明ではアインシュタイン記法を使用して合計記号∑を省略している。
A×(B×C)======== ϵijkeiAj(B×C)k ϵijkeiAj(ϵklmBlCm) ϵijkϵklmeiAjBlCm (δilδjm−δimδjl)(eiAjBlCm) δilδjmeiAjBlCm−δimδjleiAjBlCm eiAjBiCj−eiAjBjCi eiBiAjCj−eiCiAjBj B(A⋅C)−C(A⋅B)
4つ目の等号はϵijkϵklm=δilδjm−δimδjlであるため成立する。
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証明を見るとわかるが、少し練習すれば、式を忘れても試験中に導出することができるくらいである。
直接計算
=====A×(B×C) A×x^BxCxy^ByCyz^BzCz A×[(ByCz−BzCy)x^+(BzCx−BxCz)y^+(BxCy−ByCx)z^] x^AxByCz−BzCyy^AyBzCx−BxCzz^AzBxCy−ByCx [Ay(BxCy−ByCx)−Az(BzCx−BxCz)]x^+[Az(ByCz−BzCy)−Ax(BxCy−ByCx)]y^+[Ax(BzCx−BxCz)−Ay(ByCz−BzCy)]z^ (AyBxCy+AzBxCz−AyByCx−AzBzCx)x^+(AzByCz+AxByCx−AzBzCy−AxBxCy)y^+(AxBzCx+AyBzCy−AxBxCz−AyByCz)z^
===B(A⋅C)−C(A⋅B) Bx(AxCx+AyCy+AzCz)x^−Cx(AxBx+AyBy+AzBz)x^+By(AxCx+AyCy+AzCz)y^−Cy(AxBx+AyBy+AzBz)y^+Bz(AxCx+AyCy+AzCz)z^−Cz(AxBx+AyBy+AzBz)z^ (AxBxCx+AyBxCy+AzBxCz−AxBxCx−AyByCx−AzBzCx)x^+(AxByCx+AyByCy+AzByCz−AxBxCy−AyByCy−AzBzCy)y^+(AxBzCx+AyBzCy+AzBzCz−AxBxCz−AyByCz−AzBzCz)z^ (AyBxCy+AzBxCz−AyByCx−AzBzCx)x^+(AzByCz+AxByCx−AzBzCy−AxBxCy)y^+(AxBzCx+AyBzCy−AxBxCz−AyByCz)z^
二つの式が同じであるため、次の式を得る。
A×(B×C)=B(A⋅C)−C(A⋅B)
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従結論
[A×(B×C)]+[B×(C×A)]+[C×(A×B)]=0
証明
BAC-CAB公式により、次の式が成り立つ。
A×(B×C)=B×(C×B)=C×(A×B)= B(A⋅C)−C(A⋅B) C(B⋅A)−A(B⋅C) A(C⋅B)−B(C⋅A)
上記の式を全部足すと、次のようになる。
===[A×(B×C)]+[B×(C×A)]+[C×(A×B)] B(A⋅C)−C(A⋅B)+C(B⋅A)−A(B⋅C)+A(C⋅B)−B(C⋅A) [A(C⋅B)−A(B⋅C)]+[B(A⋅C)−B(C⋅A)]+[C(B⋅A)−C(A⋅B)] 0
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