宇宙のエントロピーは減少しない
定理
宇宙のエントロピーは減少しない。
説明
上記の命題を見た最初に分かる事実は、「何かかっこいい」という点だ。しかし、本当にかっこいいのはこれを数式で理解できる人であり、そうなるように努力しよう。
証明
この宇宙はユニークであり、したがってこの宇宙の「外側」のようなものは存在しないという仮定が必要だ。
上記のように、$A \to B$ は不可逆、$B \to A$ は可逆な循環過程を考えよう。この過程はいずれにしても不可逆過程を含んでいるため、全体的には不可逆過程である。
循環過程において次が成立する。
$$ \oint {{\delta Q} \over {T}} \le 0 $$
クラウジウスの定理により、次が成立する。
$$ \oint {{\delta Q} \over {T}} = \int_{A}^{B} { { \delta Q } \over { T }} + \int_{B}^{A} { {{ \delta Q_{\text{rev} } } \over { T }} } \le 0 $$
上端と下端を整理すると、次のようになる。
$$ \int_{A}^{B} { { \delta Q } \over { T }} \le \int_{A}^{B} { {{ \delta Q_{\text{rev} } } \over { T }} } $$
以下の式を満たす$S$をエントロピーentropyと定義する。
$$ dS = {{ \delta Q_{\text{rev} } } \over { T }} $$
エントロピーの定義により、次を得る。
$$ \int_{A}^{B} { { \delta Q } \over { T }} \le d S $$
宇宙がただ一つであり、その向こうに何もなければ、外部と熱エネルギーを交換することはできないだろう。したがって、宇宙全体を一つの系と見た場合、全ての過程は断熱過程であり、数式的には$\delta Q = 0$でなければならない。整理すると$dS \ge 0$となり、したがって宇宙のエントロピーは減少できない。
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