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第一同型定理の証明 📂抽象代数

第一同型定理の証明

定理 1

$G,G'$ がだとしよう。

同型定理isomorphism theoremは、代数学者エミー・ネーターによって証明された三つの独立した定理を指す。


  • $\ker$ はである。
  • $N \triangleleft G$ は、$N$ が $G$ の正規部分群であることを意味する。

説明

20180723\_142000.png

第一同型定理は、上の図の赤色に相当する同型写像 $\color{red} {\mu}$ が存在することを意味している。これは、群において $\phi$ に対して不必要な部分を捨て、をある種の「単位」として扱うだけの構造を残すことができることを示している。

証明

$K : = \ker ( \phi )$ とする。$\mu : G / K \to \phi (G)$ を $\mu (xK) = \phi ( x)$ として定義しよう。$\mu$ が同型写像であることを示せばよい。


第1部. $\mu$ は関数である。

$x,y \in G$ と $G'$ の単位元 $e'$ に対して

$$ \begin{align*} & xK = yK \\ \iff & x^{-1} y \in K \\ \iff & \phi ( x^{-1} y ) = e' \\ \iff & \phi ( x^{-1} ) \phi ( y ) = e' \\ \iff & \phi ( x ) ^{-1} \phi ( y ) = e' \\ \iff & \phi ( x ) = \phi ( y ) \end{align*} $$ 従って $xK = yK \implies \phi ( x ) = \phi ( y )$ なので $\mu$ は関数である。


第2部. $\mu$ は単射である。

第1部のプロセスを逆にたどれば $\phi ( x ) = \phi ( y ) \implies xK = yK$ となるので $\mu$ は単射である。


第3部. $\mu$ は全射である。

$\mu ( G / K ) = \left\{ \mu (xK) \ | \ x \in G \right\} = \left\{ \phi (x) \ | \ x \in G \right\} = \phi (G)$ だから、$\mu$ は全射である。


第4部. $\mu$ は準同型写像である。

$x,y \in G$ に対して $$ \mu (xKyK) = \mu (xyK) = \phi (xy) = \phi (x) \phi (y) = \mu (xK) \mu (yK) $$ 従って $\mu$ は準同型写像である。

一般化

一方で、第一同型定理を環に対して拡張した定理が知られている。証明方法はほぼ同じで、群と異なり、加法と乗法の二つの操作を考える点が異なる。

準同型写像の基本定理: 環 $R$, $r '$ に対して準同型写像 $\phi : R \to r '$ が存在するならば $R / \ker ( \phi ) \simeq \phi (R)$


  1. Fraleigh. (2003). A first course in abstract algebra(7th Edition): p307~309. ↩︎