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位相空間のデカルト積 📂位相幾何学

位相空間のデカルト積

定義 1

インデックス集合 $\mathscr{A}$ に対して、$\left\{ X_{\alpha} \ | \ \alpha \in \mathscr{A} \right\}$ を位相空間の集合とし、$O_{\alpha}$ を $X_{\alpha}$ での開集合とする。

  1. デカルト積 $\displaystyle X := \prod_{\alpha \in \mathscr{A}} X_{ \alpha}$ において $p_{\alpha} : X \to X_{\alpha}$ を射影と言う。
  2. 部分基底 $\mathscr{S} : = \left\{ p_{\alpha}^{-1} ( O_{\alpha} ) \ | \ O_{\alpha} \subset X_{\alpha} , \alpha \in \mathscr{A} \right\}$ によって生成される$X$ の位相を積位相と言う。
  3. 基底 $\displaystyle \mathscr{B} : = \left\{ \prod_{\alpha \in \mathscr{A}} O_{\alpha} \left. \ \right| \ O_{\alpha} \subset X_{\alpha} , \alpha \in \mathscr{A} \right\}$ によって生成される$X$ の位相を箱位相と言う。

定理

$\mathscr{A} = \mathbb{N}$ とする。

  • [5]: $\left\{ X_{\alpha} \ | \ \alpha \in \mathscr{A} \right\}$ が可分空間の集合なら、$X$ は可分だ。
  • [6]: $\left\{ X_{\alpha} \ | \ \alpha \in \mathscr{A} \right\}$ が第一加算空間の集合なら、$X$ は第一加算だ。
  • [7]: $\left\{ X_{\alpha} \ | \ \alpha \in \mathscr{A} \right\}$ が第二加算空間の集合なら、$X$ は第二加算だ。
  • [8]: $\mathscr{A}$ が有限集合なら、$X$ の積位相と箱位相は同じだ。

説明

定義で難解な部分基底が登場する理由は、主に交差を取るためであり、基底の定義によっては、合併以外は出てこないからだ。

部分基底の定義に従って、部分基底$\mathscr{S}$ によって生成される積位相の基底は $$ \left\{ \left. \bigcap_{i=1}^{n} p_{\alpha_{i} }^{-1} ( O_{ \alpha_{i} } ) \ \right| \ p_{\alpha_{i} }^{-1} ( O_{ \alpha_{i} } ) \in \mathscr{S} \right\} $$ である。自然に、箱位相の基底$\mathscr{B}$ について $$ \left\{ \left. \bigcap_{i=1}^{n} p_{\alpha_{i} }^{-1} ( O_{ \alpha_{i} } ) \ \right| \ p_{\alpha_{i} }^{-1} ( O_{ \alpha_{i} } ) \in \mathscr{S} \right\} \subset \mathscr{B} $$ が成り立つ。箱位相の要素が積位相の部分基底から生成される基底を含むということは、箱位相の要素が積位相の要素よりも同じか多いという意味であり、このために積位相は小さい粗い弱いと表現される。

定理[8]が成り立つことは、意外と稀なケースであるということだ。‘箱の中に積が入っている’と覚えれば混乱しない。有限次元でも可算無限次元でもなく、任意の次元にまで触れるというのは、多少衝撃的だ。

非専門家が見る位相数学

しかし、位相数学でこのようなデカルト積を考えることは、他のどの分野よりも興味深い。次元に対する一般化であれ、多変量解析であれ、何でもよいが、ようやく一般に知られた位相数学に近づいてきたと感じる。

$I := [0,1]$ と $S^{1} = \left\{ (x,y) \in \mathbb{R}^2 \ | \ x^2 + y^2 =1 \right\}$ について以下の空間を考えよう。

20180713\_181813.png 左から順に、正方形$I \times I$、円筒$I \times S^{1}$、トーラス$S^{1} \times S^{1}$ だ。

一点コンパクト化から始まり、今や空間がねじれたり、折り曲げられたりする数学になった。

参照


  1. Munkres. (2000). Topology(2nd Edition): p113~114. ↩︎