熱力学の第零法則
法則1
系 $A,B,C$が$A$と$B$と熱力学的平衡を成していて、$B$が$C$と熱力学的平衡を成しているならば、$A$と$C$も熱力学的平衡にある。
説明
熱力学の第0法則を数学的に表すと、「熱力学的平衡の推移性」となる。[ユークリッド幾何学の第1公理 $A = B \land B=C \implies A = C$のように、各分野の基礎を成す重要な法則であり、物理学の多くの部分で自然と使われる。
熱接触thermal contactは、異なる系が熱を交換するプロセスをいう。左側が高温の系、右側が低温の系だとすると、以下のように高温の方から低温の方へ熱が流れる。
熱力学的平衡thermodynamic equilibriumは、次のように記述される:
時間が経つと、左から右へ流れる熱と右から左へ流れる熱が等しくなる。この状態を熱力学的平衡という。注意すべきは、(巨視的には)熱の流れがないことであって、(微視的にも)熱が流れないわけではないという点である。(巨視的に)観測すると熱の変化はないが、本当に(微視的な)エネルギーの流れ自体が止まったと断言することはできない。このような熱の変化があっても非常に少量であり、観測するときには流れがないと考えられる。
関連項目
Stephen J. Blundell and Katherine M. Blundell, 熱物理学(Concepts in Thermal Physics, イ・ジェウ訳) (第2版, 2014), p41-43 ↩︎